（4）一次繊毛の神経伝達・神経発達障害における役割の解明

        一次繊毛は，神経細胞を含む大部分の体細胞が1本有している細胞外に突出している細胞内小器官で，細胞外の近傍環境の変化を感知するアンテナのような役割をはたしていると考えられていますが，中枢神経系での生理的・病理的な役割については未だ明らかではありません．われわれはこれまでに，小頭症に関与する中心体蛋白pericentrinが胎生期に様々な細胞一次繊毛の基部に局在していること，特に嗅繊毛の形成に関与していること，リチウムにより一次繊毛が伸長することを明らかにしてきました．また，一次繊毛上にいくつかの神経伝達物質に対する受容体が存在することも報告されています．現在，神経伝達および神経発達における一次繊毛の役割を明らかにするための研究を行っています．

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経制御学講座　神経情報学