コンセプト

主な研究テーマ

哺乳動物の生殖細胞や体細胞を用いて新たな体外受精システムの構築や新たな人為操作後術の開発に取り組んでいます。また、これらの研究開発を通して、哺乳動物の配偶子(卵子、精子)形成、受精及び初期発生の機構解明に関する基礎研究と、付加価値の高い有用動物の効率的生産体系の確立に関する応用研究をともに進めるよう心がけています。

 


小卵胞由来卵母細胞を用いた哺乳動物胚の体外生産システムの開発

哺乳動物、特に家畜種の受精卵の体外受精の体外生産には、通常卵巣上に存在する直径3~6mm程度の中卵胞に由来する卵丘細胞-卵母細胞塊が使用されています。しかし直径3mm未満の小卵胞に由来する卵母細胞は、減数分裂遂行能力や体外受精後の初期発生能が中卵胞由来の卵母細胞に比べ更に低いことから利用されていないのが現状です。私達は,何故,減数分裂遂行能や初期発生能が小卵胞由来の卵母細胞で低いのか,どのような処理を行えばそれらの能力が改善されるのかについて,研究を行っています。


哺乳動物精子の新たな機能・品質評価システムの開発

哺乳動物に限らず雄性生殖細胞である精子は,非常に多くの数が雌性生殖道内に注入されますが,非常に激しい競争が繰り広げられ、また雌の生殖道内で機能的にも大きく変化して、最終的に1つの精子が卵母細胞に侵入します。これまで精子の品質や機能の評価は,顕微鏡下での運動性や細胞膜の健全性などを指標に行われてきていますが,客観性に乏しかったり,フローサイトメーターなどの高価な機器を必要としたりで、簡便で客観性に優れたものとはいえません。そこで,私たちは,精子のミトコンドリアや微量に存在するRNAの働きに注目し、それらの役割や調整機構を明らかにしていく中で,簡易かつ客観的な精子の機能・品質評価システムの開発を進めています。

卵母細胞における細胞小器官の役割

生殖細胞(卵子と精子)は遺伝子を次世代へ伝える重要な細胞です。卵子や精子を体外で培養・操作する技術は,農学・畜産の分野を中心に発展してきた歴史があり、現在はヒトの生殖補助医療や希少動物の保護など様々な分野で応用されています。とりわけ卵子は数の面からも希少であり,質の良い卵子を生産し効率的に利用することが重要となります。私達は,卵細胞質中のミトコンドリアや小胞体などの細胞小器官に着目し,これらの細胞小器官が卵子形成や受精においてどのような役割を担っているのか解析し,良質な卵子生産システムの開発を目指しています。