○国立大学法人岡山大学におけるベンチャー企業を対象とした収益を伴う事業の対価として取得する株式等の取扱いに関する規程

令和元年7月30日

岡大規程第95号

(趣旨)

第1条 この規程は,国立大学法人岡山大学(以下「本学」という。)が,科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号。以下「法」という。)及び研究開発法人及び国立大学法人等による成果活用事業者に対する支援に伴う株式又は新株予約権の取得及び保有に係るガイドライン(平成31年1月17日付内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当),文部科学省科学技術・学術政策局)に基づき,本学における大学発ベンチャー企業に対する育成支援に資することを目的として,当該ベンチャー企業から収益を伴う事業の対価として,本来,現金にて支払いを受けるべきところ,現金に代えて株式等を取得する場合の株式等の取得,管理,処分等について,必要な事項を定める。

(定義)

第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の定義は,当該各号に定めるところによる。

 株式等 株式及び新株予約権をいう。

 ベンチャー企業 法第34条の4第1項に定める成果活用事業者のうち,本学の研究成果を基に起業したベンチャー企業,本学との共同研究により起業したベンチャー企業その他本学と関連のあるベンチャー企業をいう。

 収益を伴う事業 国立大学法人法第22条第1項各号に規定する業務の範囲のうち,収益を目的とした次に掲げる事業をいう。

 職務発明規程第2条第1号ニに規定するノウハウを開示して実施する技術指導

 研究成果有体物(国立大学法人岡山大学成果有体物取扱規程(平成16年岡大規程第26号。以下「成果有体物規程」という。)第2条第1号に規定する成果有体物)の提供

 コンサルティング業務(国立大学法人岡山大学コンサルティング業務取扱規程(平成30年岡大規程第62号)第2条第1号に規定するコンサルティング業務)の実施

 本学の施設,設備その他の資産の貸与

 その他学長が特に必要と認めた事業

 インサイダー取引 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第166条に規定する有価証券の取引等をいう。

(受入の基準)

第3条 本学が,収益を伴う事業の対価として株式等を取得することができる場合とは,当該対価を支払うべきベンチャー企業が希望し,かつ本学が当該ベンチャー企業の当面の事業活動を支援することで本学の研究成果の社会実装の進展が期待できる次のいずれにも該当する場合とする。

 当該ベンチャー企業の事業の有望性が高い場合

 現金による支払いを免除又は軽減することが,当該ベンチャー企業の経営の加速のために特に必要と考えられる場合

2 前項の規定にかかわらず,次の各号のいずれかに該当する場合は,株式等を取得してはならないものとする。

 当該ベンチャー企業の経営体制又は株主体制に,反社会的勢力等との関係が認められるなど,社会的な立場及び信用度に問題がある場合

 株式等を取得した際,本学が、株主として株主総会での議決権等の共益権を行使しなかった場合に,当該ベンチャー企業の経営に著しい悪影響を与えることが明らかである場合

 取得する株式等が,将来的に,有価証券の処分信託を行うために必要な元本価額に達しないことが明らかである場合

 その他学長が本学の運営に支障がある,又は支障が生じるおそれがあると判断した場合

(審査)

第4条 本学が,ベンチャー企業から自社の株式等による支払いの申込を受けた場合,岡山大学研究・イノベーション共創機構(以下「機構」という。)が,株式等の取得の審査を行う。

2 前項の審査に関して,機構長は,利益相反マネジメントに留意の上,案件毎に審査会を組織し,当該ベンチャー企業の財務状況,事業計画,その他株式等の取得の妥当性を判断するために必要な事項を踏まえ,その取得の可否,妥当な取得株式等の数等について審査を行う。

3 審査会は,審査に際し,株式等の価値等を公正かつ客観的に評価するため,必要に応じて,外部専門家から意見を聴取する。

4 第2項の審査会は,取得株式等の数等について,当該ベンチャー企業と合意に向けた交渉を行う。

5 当該収益を伴う事業が,第2条第3号ウに該当する場合,職務発明規程第16条第2項第2号により発明審査委員会の職務として規定されている成果有体物の提供の可否等の審査については,第2項の規定及び成果有体物規程第5条の規定にかかわらず,職務発明規程第16条第2項に規定する審査会が,株式等の取得審査と併せて行うものとする。

6 当該収益を伴う事業が,第2条第3号オに該当する場合,機構長は,当該資産の資産管理責任者に対して第1項の申込み情報を通知するものとする。

7 機構長は,第2項の審査結果を学長に報告するとともに,財務・施設担当理事及び研究担当理事に通知するものとする。

8 第1項に規定する申込書類の様式,その他審査に関し必要な事項は別に定める。

(取得の決定)

第5条 学長は,株式等の取得の可否等について,財務・施設担当理事及び研究担当理事から意見を徴するとともに,必要に応じて,外部専門家から意見を聴取して,前条第2項の審査結果を踏まえて,決定する。

2 学長は,前項の規定により決定された株式等の取得の可否について,当該ベンチャー企業に通知する。

3 第1項により,株式等の取得を可とした場合,株式等の取得等について規定した契約書(ライセンス契約書,新株予約権割当契約書等)を取り交わして,当該株式等を取得する。

(株式等の管理)

第6条 学長は,取得した株式等を国立大学法人岡山大学出納事務取扱規程(平成16年岡大規程第28号)に基づき,法人本部の経理責任者及び金銭出納担当者が所属する財務部に管理させる。

2 学長は,保有する株式等の定期的な評価を機構長に実施させ,その結果を報告させる。

3 前項の定期的な評価に関し必要な事項は別に定める。

(株式の売却等)

第7条 株式の売却にあたっては,原則として,換金可能な状態になった時点で売却するものとする。その際,金融商品取引法等の関連規定を遵守し,適切に売却する。

2 前項の規定にかかわらず,次の各号に該当する場合は,学長は,効果的かつ公正な判断に資するため,財務・施設担当理事及び研究担当理事から意見を徴するとともに,必要に応じて外部専門家から意見を聴取し,売却又は保有を決定するものとする。

 換金可能な状態になった時点で,収益を伴う事業の対価に見合わない場合

 一斉かつ大量に売却することにより急激な価値の下落を招く恐れがある場合

3 前2項により株式を売却する際は,インサイダー取引防止の観点から,原則として有価証券処分信託,株式処分信託等を利用して行うものとする。

(議決権の行使)

第8条 ベンチャー企業から取得した株式を保有している間,原則として,当該株式発行会社の株主総会において,議決権を行使しないものとする。ただし,議決権を行使しないことにより,当該株式発行会社の経営に著しい悪影響を与える可能性があると考えられる場合に限り,学長が議決権を行使するものとする。

(新株予約権の行使等)

第9条 本学が所有する新株予約権について,原則として,当該予約権の行使が可能となり次第直ちに行使し,株式を取得するものとする。

2 前項により当該予約権を行使する場合には,第5条第3項の契約書の内容に基づくものとする。

3 学長は,新株予約権の権利の変更又は処分(放棄を含む。)等を当該ベンチャー企業等から求められた場合,財務・施設担当理事及び研究担当理事から意見を徴した上で,適切に対応するものとする。この場合において,学長は,必要に応じて,外部専門家から意見を聴取することができるものとする。

4 第1項の規定により取得した株式の取扱は,前3条の規定を適用する。

(インサイダー取引の防止)

第10条 本学は,株式等の適正な売却を行うため,国立大学法人岡山大学利益相反マネジメント規程(平成30年岡大規程第39号)第5条に規定する利益相反マネジメント委員会において,株式等の発行会社に兼業,共同研究等を通して関与する職員等(以下「大学関係職員」という。)に対して,インサイダー取引に該当しないか等,株式の保有状況等を個別に調査・確認する。

2 本学は,金融商品取引法その他の法令等を遵守するとともに,大学関係職員等からの情報によって,株式の売却,新株予約権の権利の変更等の判断を恣意的に行ってはならない。

3 ベンチャー企業支援担当者は,株式等の売却等の判断に加わらないものとする。

(実施補償金の配分)

第11条 収益を伴う事業(第2条第3号ア及びの場合に限る)の対価として株式等を取得した場合における職務発明規程第12条第2項に規定する補償金については,株式等を取得した後,当該株式等(新株予約権を行使して取得した株式を含む。)を換金して収入を得たときに支払うものとする。

2 前項の補償金の支払いに関して,国立大学法人岡山大学の職員の職務発明等に対する補償金支払要項(平成16年4月1日学長裁定)によるもののほか,必要な事項は別に定める。

(リスクマネジメント)

第12条 学長は,株式等の取得,管理,処分等にあたり,金銭的な損失,本学の社会的信頼性やブランドの毀損等のリスクに対処するため,組織としての利益相反マネジメント,インサイダー取引回避の取組等のリスクマネジメントを行う。

(適用除外)

第13条 ベンチャー企業のうち人文科学のみに係るものについては,本規程を適用せず,「国立大学法人及び大学共同利用機関法人が株式及び新株予約権を取得する場合の取扱いについて」(29文科高第410号平成29年8月1日付文部科学省高等教育局長・研究振興局長通知)に基づくものとする。

(雑則)

第14条 この規程に定めるもののほか,本規程の実施に関し必要な事項は,別に定める。

2 前項の規定に関わらず,機構又は機構長が行うとされている事項については,機構長が別に定めることができるものとする。

この規程は,令和元年7月30日から施行する。

(令和6年3月29日規程第51号)

この規程は,令和6年4月1日から施行する。

(令和6年7月25日規程第107号)

この規程は,令和6年7月25日から施行し,令和6年4月1日から適用する。

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令和元年7月30日 岡大規程第95号

(令和6年7月25日施行)