期待される成果

 <植物遺伝資源研究基盤の整備・確立>

 植物遺伝資源の多様性の宝庫である雲南省および周辺地域において,重要作物のイネ・ムギ類・ダイズやウリ科作物などのユニークな植物遺伝資源が採集され,さく葉標本とともに昆明植物研究所に新設されたジーンバンク (中国西南野生生物種質資源庫)に登録・保存されます。これらの植物遺伝資源は日本にも導入されるので,岡山大学で維持している既存の遺伝資源とあわせ質・量ともに世界最高水準の植物遺伝資源研究基盤が構築されます。本研究基盤の維持・利用あたっては文部科学省のナショナルバイオリソースプロジェクトとの連携も視野に入れています。

 

 <先端的研究の加速化>

 これらの植物遺伝資源を基盤として,分子遺伝学,分子生物学及び有機化学の最先端の技術を利用して基礎及び応用の両面での共同研究が加速化されます。
 耐病性やストレス耐性作物の育種,新規格食品や薬品の開発,及び地球環境の保全などにつながる新規遺伝資源及び新規植物機能が解明されます。
 新規に発見される遺伝子,植物機能などの先端的学術情報を先進諸外国に先駆けて獲得することが可能となり,特許化などによりわが国の国家戦略であるバイオサイエンス戦略の推進に大きく貢献することが期待されます。
 また,ムギ類,イネ,ダイズ,ウリ類など栽培植物の起源と進化に関する新たな発見も期待されます。特に,ダイズやキュウリはヒマラヤ東麓で栽培化されたと考えられているので,この分野で世界をリードできる研究成果が得られます。
 さらに,安全な食を低コストで供給するために不可欠な減農薬・省力栽培を可能とする病害抵抗性遺伝資源や薬用植物を用いた制ガン剤などの開発などを通じて,安心・安全な社会作りに大いに貢献することが期待されます。

 

 <東アジアにおける有用植物遺伝資源研究拠点の構築>

 上記のような研究交流・人的交流を通じて「東アジアにおける有用植物遺伝資源研究拠点」が構築されます。 また,本事業において若手研究者の交流・育成に力を注ぐので,本拠点における国際共同研究の継続的・発展的展開が可能となり,本拠点,岡山大学ならびにわが国の国際認知度の向上につながります。

 

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