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稲垣賢二教授が日本農芸化学会「農芸化学技術賞」の受賞講演を行いました

 日本農芸化学会では,農芸化学分野において注目すべき技術的業績を上げた会員に農芸化学技術賞を授与しており、その業績には実用的価値があることとなっています。 
今回の授賞題目は,「L-グルタミン酸オキシダーゼの発見と応用開発」であり,(株) エンザイム・センサの日下部均氏,(株) ヤマサ醤油の野口利忠氏との共同受賞で、長年にわたる岡山大学とこれら企業との共同研究の成果が認められたものです。その内容を簡単にご紹介します。1982年に放線菌 Streptomyces sp. X-119-6の固体培養により, L-グルタミン酸だけに作用する新酵素LGOXを発見し,旨み成分で、興奮性の神経伝達物質でもあるL-グルタミン酸の定量用酵素として国内供給を開始しました。その後大腸菌で大量生産する組換えLGOXの工業的製造法を確立しました。更に本酵素のX線結晶構造解析に成功し, 活性中心構造を明らかにするとともに,活性中心を構成する残基の中で, 305番目のアルギニン残基が基質認識の鍵残基であることや,この残基の置換により基質特異性を完全に変換した酵素の作成ができることを発見し、基質特異性変換酵素をバイオセンサーとして実用化しました。 また組換えLGOXを使用したL-グルタミン酸測定キットの開発に続きLED比色計付のL-グルタミン酸簡易測定セット「うまミエール」を理科実験教材用として開発しました。更に新規でユニークなL-グルタミン測定キットやGABA測定キットの開発にも成功しました。
一方LGOXを長年にわたり供給したことにより, 国内外の会社が, L-グルタミン酸センサー及びL-グルタミンセンサーを応用した多項目センサー分析機を商品化しました。食品分析のみならず, 抗体医薬品の細胞培養による生産工程管理に広く使われています。また, マウスやラットの脳内へ挿入する無線のin vivo 実験用センサーにも使用されています。今後, 精神神経疾患の基礎研究あるいは新薬開発においても, LGOXによる脳内のL-グルタミン酸測定が大いに寄与すると期待されます。
こうした受賞内容を去る9月17日にWEB開催された2020年度日本農芸化学会中四国支部大会において行われた受賞講演で紹介しました。

研究者: 稲垣 賢二

【連絡先】
稲垣 賢二(教授)
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農学部)
Email: kinagaki (a) okayama-u.ac.jp
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