獣医療、飼養管理、衛生管理の技術が発達した現在でも、乳房炎は解決困難な問題です。泌乳量が増加して1日に30〜40 kgの牛乳を搾りだすことが普通に求められる
ようになり、搾乳に伴うダメージから回復するだけでも現代の乳牛は大変でしょう。乳頭口の閉鎖が不完全であれば、病原性微生物の侵入も避けられません。
乳房炎は微生物感染症ですから、その予防には病原因子(微生物)、環境因子(牛舎環境)および宿主因子(乳牛の栄養状態、免疫機能、乳頭形状等)の相互関係を理解
することが必要です。それまで続けていた飼料と腸内容物の細菌叢調査から対象を空気粉塵を含めた環境に広げ、乳房炎予防を目指したフィールド調査を行っています。
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