銅, Cu(copper)
臨床的意義
銅は、銅酵素の重要な構成成分として骨代謝、結合織代謝、造血などに重要な役割を果たしている。銅欠乏症状・所見がある患者では、血清(血漿)銅、尿中銅、血清セルロプラスミンを測定する。精神運動発達遅延、成長障害、けいれんがある患者では毛髪異常(pili torti、kinky hair)の有無の検査とともに血清銅、セルロプラスミンの低値を調べる。Wilson病が疑われる患者では血清銅、セルロプラスミン、尿中銅排泄量を測定する。長期間の栄養失調症や下痢、脂肪便がある場合にも銅欠乏状態になるので血清銅、セルロプラスミンを測定する。
生理的意義
大量の銅は有害だが微量(2.5mg/day)の銅は必須栄養素。血清中 では94%がセルロプラスミンと4%がアルブミンと結合し、鉄とトランスフェリンのような不飽和型は存在しないため、血清銅とセルロプラスミンは強い相関を示す。造血作用に重要な働きをし、 鉄とともに血液疾患の診断に必要で、性差・日内変動はない。
測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より)
日本電子BM1650(平成18年7月18日より)
日立7170自動分析装置(平成18年7月14日まで)
測定試薬: ラボシードVCu シノテスト
測定原理
血清銅を酸性下で遊離させ、酸化剤(ヨウ素酸カリウム)で、Cu++に酸化する。このCu++は 2-(2-チアゾリアゾ)-4-メチル-5-スルホメチルアミノ安息香酸(TAMSMB)とキレート化合物を作り発色する。この色素を比色して血清銅値を求める。
基準範囲: 76〜141 μg/dL (平成6年9月より)
70〜140 μg/dL(平成6年8月まで)
相関
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.08X-3.31 r=0.998 n=200
平成6年9月
従来法:X
新法:Y
Y=1.063X-1.830
小児の基準値
乳児期に高い(対成人値比は約1.3)が、その後漸減し、7、8歳で成人値になる。70歳以上では成人値より上昇する。思春期以降では女性は男性よりやや高い。
異常値を示す疾患
高値: 再生不良性貧血、鉄欠乏性貧血、閉塞 性黄疸、感染症、妊娠など。
低値: ウィルソン病(著減)−セルロプラス ミン先天性欠損症で、脳・肝・腎などに銅が沈着し、障害を与える。
採取容器 血液:茶)生化学一般用分離剤入り試験管 尿:住友(UBO
関連項目