アルドステロン, aldosterone

令和3年3月26日より院内導入
外注:BML(平成17年3月28日より令和3年3月25日まで)

測定法:CLEIA法(令和3年3月26日より)
    RIA法 核医学診療室

測定機器:LUMIPULSE L2400(令和3年3月26日より)

測定試薬:ルミパルスプレスト®アルドステロン(富士レビオ株式会社)(令和2年4月9日より)

臨床的意義
 アルドステロンは、最も強力な鉱質コルチコイドで副腎皮質球状層で合成・分泌される。アルドステロン分泌は多因子によって調節されているが、主要な分泌調節因子として@レニン-アンギオテンシン系、A血漿K濃度、BACTHが重要である。鉱質コルチコイドの標的組織は糖質コルチコイドに比べて少なく、主に腎の遠位尿細管で、そのほかに腸管、汗腺、唾液腺、脳などに限られる。遠位尿細管におけるNa+とOH‐の再吸収とK+とH+の排泄が主な働きといえる。したがって、アルドステロンの分泌過剰によって細胞外液中のK+の低下、HCO3‐の増加と軽度のNa+の増加がみられ、それに伴う高血圧、低K血症、および代謝性アルカローシスが生じる。逆にアルドステロン分泌低下は低血圧、高K血症、代謝性アシドーシスを生じる。ただ、原発性アルドステロン症や、心、腎機能の正常なヒトにアルドステロンを大量に投与した場合などのアルドステロン過剰状態では、心房性Na利尿ペプチドなどによるエスケープ現象によりあまり高Na血症がみられないことには臨床上注意を要する。高血圧性諸疾患、血清Kの異常、浮腫などの鑑別に最も大切な検査項目といえる。特に原発性アルドステロン症、Bartter症候群、Liddle症候群、副腎における17α、11βをはじめとする水酸化酵素欠損症、選択的低アルドステロン症などの鑑別には欠かすことができない検査である。また、測定による診断意義を高め、アルドステロン分泌異常を副腎原発か二次性かを鑑別するためにも血漿レニン活性を同時に測定することが大切である。

異常値を示す疾患

血漿アルドステロン
高値 低値
血漿レニン活性 高値 疾患 腎血管性高血圧症
悪性高血圧症
レニン産生腫瘍
単純型21‐ヒドロキシラーゼ欠損症
Bartter症候群
偽性低アルドステロン症
特発性浮腫
ネフローゼ症候群
心不全
肝硬変
妊娠中毒症
Addison病
原発性選択的低アルドステロン症
塩類喪失型21-ヒドロキシラーゼ欠損症
状態 立位歩行、食塩制限
循環血漿量減少(脱水)
利尿薬投与
妊娠、黄体期
プロゲステロン投与
ACE阻害薬投与
K欠乏
低値 疾患 原発性アルドステロン症
特発性アルドステロン症
グルココルチコイド反応性アルドステロン症
低レニン性選択的低アルドステロン症
偽性アルドステロン症
Cushing症候群
DOC産生腫瘍
Liddle症候群
11β‐ヒドロキシラーゼ欠損症
17α‐ヒドロキシラーゼ欠損症
状態 K大量投与 循環血漿量増加
高食塩食摂取
高齢者
午後の採血

基準値:4.0〜82.1pg/mL(令和3年3月26日より)
    血中 3〜12ng/dL  尿中 2〜10μg/day(一日尿中排泄量)     参考文献:日本臨床

小児の基準値
 新生児で高く、その後1歳までは急激に減少する。1歳以降は大きな変動を認めないが、成人の値よりも広い範囲に分布している。

相関 令和3年3月26日
x=BML:RIA・固相法
y=LUMIPULSE L2400
全濃度域 y=0.794x-47.943   r=0.996  n=116
低濃度域 y=0.683x-29.521   r=0.956  n=99

採取容器: 茶)試験管

関連項目

フロセミド立位2者負荷試験
食塩制限試験
ACTH負荷試験
アンギオテンシンU負荷試験
カプトプリル負荷試験
9α-Fluorohydrocortisone(FHC)負荷試験
デキサメサゾン抑制試験
Na負荷試験
レニン活性(PRA)

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