抗Sm抗体, anti-smith antibody 

 
臨床的意義
 
本抗体の対応抗原分子は、UsnRNPに属するU1-RNP、U2-RNP、U4/6-RNP、U5-RNPである。各抗原分子にはB/B´、D(D1、D2、D3)、E、F、G蛋白が共通して存在し、これらの蛋白部分に抗原性がある。しかしこのうちのE、F、G蛋白は、nativeな状態でのみ抗原性がある。変性剤を用いる免疫ブロット法などでは、抗体との反応はみられない。これらの抗原分子はすべて核内に存在し、pre-mRNAのスプライシングに関与する生物学的機能をもつ。抗Sm抗体は、Smithという名の全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中に見いだされた抗核抗体である。非ヒストン核蛋白抗原に対する多数の自己抗体群のうち、この抗体は最初に命名された抗体として知られる。このため抗原が明確となった現在でも、この抗体は患者の頭文字で呼ばれている。本抗体が陽性であれば、SLEの補助診断上の意義が高い。本抗体はSLEの疾患標識抗体である。本抗体が血清中に確実に検出されたら、その患者がSLEと診断される可能性はきわめて高い。本抗体が陽性であることは、アメリカリウマチ学会が提唱したSLE分類基準項目の一つでもある。したがって本抗体検査の目的は、SLEの補助診断法としての有用性を利用する点にある。

適応疾患: 
SLE、Overlap症候群、MCTD

測定方法: 蛍光酵素免疫測定法:FEIA法

測定機器: ImmunoCAP 250(平成22年4月28日より)
       
EVOLIS(日本バイオラッド(株)
       
BEPIII(平成17年12月28日まで)

測定試薬: ユニキャップエリア(ファディア株式会社)(平成22年4月28日より)
       
MBL(平成13年4月2日より改良試薬に変更〜平成22年4月27日まで)

機種変更相関、一致率

(平成22年4月28日機器、試薬を変更)

y=1.001x – 0.762 r=0.994 n=38、 94.7(平成17年12月28日)

従来試薬と改良試薬の一致率(平成13年4月2日より改良試薬に変更)

  抗Sm抗体 従来試薬
+ +- -
改良試薬 + 4 6 0
+- 1 3 6
- 0 0 47

n=67    一致率  76.1%

平成27年12月18日改良試薬へ変更(精製蛋白抗原からSmD3ペプチド抗原に変更)


基準値: 7 U/ml未満(陰性)、 7〜10 U/ml(判定保留)、10  U/ml<(陽性)(平成27年12月18日より)
       
5 U/ml未満(陰性)、 5〜10 U/ml(判定保留)、10  U/ml<(陽性)(平成22年4月28日より平成27年12月17日まで)
           
 7.0 index 未満(陰性)  30.0 index 以上(陽性)(平成13年4月1日より平成22年4月27日まで)
             
5.0 index 未満(陰性)  15.0 index 以上(陽性)(平成13年3月31日まで)


採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

抗核抗体(ANA)
抗DNA抗体
抗RNP抗体
抗ENA抗体
IC
CH50

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