抗核抗体, ANA (anti-nuclear antibody)
臨床的意義
真核細胞の核内の抗原性物質に対する抗体群を総称して、抗核抗体(antinucler antibody ; ANA)と呼ぶ。対応する抗原は多数あるため、その抗原特異性に基づいて抗核抗体は多種類に細分類される。膠原病各疾患の患者血清中には、その疾患に特有な自己抗体群が検出される。その中心となるものは、細胞の核や細胞質の構成成分に対する自己抗体、すなわち抗核抗体と抗細胞質抗体とである。これらはともに臨床検査としての有用性が高い。細胞核内の抗原性物質には、生理的溶液に可溶性のものと不溶性のものとがある。このため、通常の溶液内反応のみで抗体を検出すると、抗核抗体群の一部しか検出できない。抗核抗体群のすべてを一括するスクリーニング検査法として、蛍光抗体間接法が広く普及している。蛍光抗体法によるANAをFANA(fluorescent ANA)と呼ぶこともある。FANA検査の目的は、多数の抗核抗体群のいずれかの陽性を明らかにすることにある。もしFANA陽性であれば、次の段階として、どの種類の特異ANAが陽性かを、特異抗原を使った検査法で確かめる必要がある。FANA検査法は蛍光顕微鏡で観察する過程が含まれるため、多数検体の処理には適さない。このため最近は、代替えのELISA(酵素免疫測定法)が考案されている。しかしFANA検査の目的を、ELISAで全面的に代替えすることはまだ難しい。
適応疾患: SLE・全身性硬化症・多発性筋炎など
測定方法: 蛍光酵素免疫測定法:FEIA法(平成25年2月20日より)
ELISA法(平成25年2月19日まで)
測定機器: ImmunoCAP 250(ファディア株式会社)(平成25年2月20日より)
EVOLIS(日本バイオラッド(株)(平成18年1月4日より平成25年2月19日まで)
BEPIII(平成17年12月28日まで)
測定試薬: 抗核抗体キット エリア CTD スクリーン(ファディア株式会社)(平成25年2月20日より)
MBL(平成13年4月2日より改良試薬に変更)(平成18年1月4日より平成25年2月19日まで)
機種変更相関、一致率等:
(平成25年2月20日より)
(平成25年2月20日より)
感度および特異度
(平成25年2月20日より)
相関
(平成17年12月28日)
y=0.990x
- 1.029 r=0.976 n=79、 91.1%
従来試薬と改良試薬の一致率(平成13年4月2日より改良試薬に変更)
抗核抗体 従来試薬 | ||||
+ | +- | - | ||
改良試薬 | + | 35 | 0 | 2 |
+- | 0 | 0 | 0 | |
- | 3 | 0 | 57 | |
n=97 一致率 94.8% |
基準値: 1.00Ratio以下(陰性)(平成25年2月20日より)
20.0 index 未満(陰性)(平成13年4月1日より平成25年2月19日まで)
12.0 index 以下(陰性)(平成13年3月31日まで)
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
抗DNA抗体
抗ENA抗体
抗RNP抗体
抗Sm抗体
抗SS-A抗体
抗SS-B抗体
抗Scl-70抗体
免疫複合体
血清補体価
LEテスト
抗セントロメア抗体(ACA)