副甲状腺ホルモン, PTH(parathyroid hormone)

測定法:intact: IRMA(ビーズ固相法)   C末端: RIA(二抗体法) 

インタクト:外注会社(LSIM)平成26年4月1日より社名変更(平成14年4月1日よりMBC;平成19年4月1日より社名変更MCM)
(平成13年4月2日より平成14年3月31日まで核医学診療室)それ以前は外注会社(MBC)
C末端:外注会社(MCM)(平成23年3月31日までで以降は中止)

臨床的意義
副甲状腺ホルモン(PTH)は最も重要なカルシウム調節ホルモンであり、84個のアミノ酸から構成されている。完全分子型である場合はインタクトと呼ばれ、蛋白分解酵素により体内で分解された場合はN末端、C末端、中間部の三つのフラグメントからなる。PTHはN末端に生理活性を有し、C末端フラグメントは生物学的には不活性であるが、血中半減期が長く安定である。一方、C末端フラグメントは腎より排泄されるので、腎不全例では排泄不良のため血中で高値をみることがあるが、インタクトはその影響を受けにくく、また生理的活性があるので現在では最もよく測定される。ただし、不活化を防ぐために採血後ただちに冷却下で血漿を分離する必要がある。PTHは血清カルシウム濃度の恒常性を維持するホルモンであるため、カルシウム値は原発性副甲状腺機能亢進症で高値になり、低下症では低値になる。また、外的要因に対してこの恒常性を維持するためPTH濃度はカルシウム濃度を正常化する方向に働くので、低カルシウム血症の場合は上昇し、高カルシウム血症の場合は低値になる。一般的に副甲状腺機能低下症の場合は、低値側に感度がよい高感度PTHを測定した方がより正確である。また、悪性腫瘍に合併する高カルシウム血症の場合はアミノ酸141個からなるPTH関連蛋白(PTH-rP)の関与によるものがあるので、その場合にはPTH-rPを測定するのが有用である。

異常値を示す疾患
高値疾患: 原発性・続発性甲状腺機能亢進症、偽性副甲状腺機能低下症

低値疾患: 特発性・術後性副甲状腺機能低下症

基準範囲: intact: 10〜65 pg/mL (平成17年3月28日より)   

             14〜66 pg/ml(平成17年3月25日まで)    

        C末端: 0.6 ng/ml以下 (平成23年3月31日まで)

小児の基準値
 
1歳から6歳までほぼ一定の値を示し、明らかな男女差はない。

検体採取・測定条件
・インタクトPTHは採血後,全血では低下傾向が見られるため2時間以内に分離し,必ず凍結保存をする。

生理的変動
・腎不全では分泌亢進と腎からの排泄の遅延により,特に血中C末端フラグメントが増加する。
・健常人でも日内変動がある為,特にインタクトPTHは,1回の採血で評価すべきではない。
・インタクトの抗体認識部位は1-84,高感度は44-68,C末端は53-64であり高感度とC末端は良い相関を示す。

採取容器:EDTA(EDTA入り試験管)(インタクトは、遠心分離後核医学診療室に血漿を提出)

関連項目

Ca
IP
ALP
カルシトニン
ビタミンD
オステオカルシン

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