アルカリフォスファターゼアイソザイム, alkaline phosphatase isozyme


測定法:セルロースアセテート膜電気泳動法 

外注会社:BML

臨床的意義
 ALP異常をきたす原因の第1は肝胆道系疾患,第2に骨代謝亢進状態,第3が疾患と血液型(B型,O型)が関係する小腸性ALPの出現,第4が妊娠時のALP上昇である。ALPアイソザイムの分析はセルロースアセテート膜,あるいはポリアクリルアミドゲルを用いて行われ,一部のみが異なる。
ALP1 : 高分子ALPである。胆管の閉塞により胆管内圧が亢進し,胆汁成分が類洞へ逆流する状態で血中に出現する。ALP1が出現する場合にはALP2の増加を伴っている。
ALP2 : 肝性ALPである。成人の血清ALPの主体をなす。胆管に何らかの障害が及べば,肝での合成が亢進し,血中で増加してくる。
ALP3 : 骨性ALPである。小児血清ALPの主体をなす。骨の新生に伴い増加する
ALP4 : 胎盤性ALPである。妊娠後期に血清中に胎盤に由来するALPが検出される。また,低頻度ながら,悪性腫瘍患者血清中に腫瘍細胞産生のALPが検出される。
ALP5 : 小腸性ALPである。このALPは、脂肪の吸収に伴って小腸粘膜から胸管リンパを経て大循環系に入るが,血液型B型,O型の人では正常者であっても血中に出現し,肝硬変,慢性腎不全,糖尿病などでは,その程度が増強する。肝での処理の低下と考えられる。小腸ALP増量による家族性高ALP血症が存在する。
ALP6 : 免疫グロブリン結合ALPである。潰瘍性大腸炎の極期に出現することが多い。
ALPI : ポリアクリルアミドゲル電気泳動で検出されるアイソザイムである。肝癌ALP(variant ALP)であり、肝細胞癌により産出される。肝細胞癌の腫瘍マーカー。

異常値を示す疾患

疾患  構成アイソザイム
肝硬変 ALP2またはALP2+5
肝細胞癌 ALP2またはALP1+2
胆道系疾患 : 胆管癌、肝内結石 ALP1+2
限局性肝障害 : 転移性肝癌、肝膿瘍、肉芽腫性肝障害 ALP1+2
慢性肝炎、脂肪肝 ALP2ときにALP1+2
骨疾患 : 副甲状腺機能亢進症、くる病、骨軟化症、骨肉腫 ALP3
転移性骨腫瘍(造骨性) ALP3
甲状腺機能亢進症 ALP3
慢性腎不全 ALP2+3、ALP2+5
悪性腫瘍(骨・肝転移なし) ALP2+4
ウイルス肝炎 ALP2
アルコール性肝炎 ALP2
薬剤性肝障害 ALP2
肝炎ウイルス以外のウイルスによる肝障害 ALP2
原発性胆汁性肝硬変 ALP2またはALP1+2
その他の肝内胆汁うっ滞 ALP1+2
閉塞性黄疸 : 胆管癌、胆管細胞癌、膵頭部癌、総胆管結石、硬化性胆肝炎 ALP1+2


基準範囲 

成人 ALP2>ALP, ALP2=ALP3
小児 ALP2<<ALP3

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目


γ−GT(γ−GTP)
甲状腺ホルモン
Ca

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