抗ストレプトリジンO抗体, ASO( anti-streptolysin O antibody)
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(SRL)

臨床的意義
 溶血毒素であるストレプトリジンO(SLO)は、A群のみでなく、C群、G群の溶連菌も産生し、強い抗原性のため中和抗体であるASOがつくられやすいことから、血清中のASO価の測定が最も診断的価値が高いとされ、1932年Toddらによって測定法が考案されて以来、広く応用されている。ASO価は、一般的に溶連菌感染後1週間ころより上昇し始め、3〜5週間目にピークに達する。そして、2ヶ月後より下降し始め2〜3ヶ月で感染前の抗体に戻るとされる。一方、咽頭から溶連菌が分離されても、感染が起きていない単なる保菌者の場合には、ASO価は上昇しない。また、リウマチ熱や急性糸球体腎炎のような二次後遺症においては、特に成人の場合、咽頭培養で溶連菌を証明することはほとんどなく、ASOなどの血清抗体価の測定に頼らざるを得ない。このように、ASO価の測定は、溶連菌感染の有無を診断するうえで重要である。しかし、ASO価の有意の上昇を認めるのは、リウマチ熱患者の8割強であって、2割弱の症例では正常域にとどまる。これは、感染菌種のSLO産生能が低い、宿主のASO産生能が低い、早期の抗生物質療法によりASOを産生しないまま経過した、などの要因によるものであることが考えられている。このため、ASO単独の検査では、リウマチ熱の除外診断はできない。そこで、溶連菌感染症の血清診断には、他の抗体価測定も合わせて行う必要がある。

測定方法: 免疫比濁法(平成14年4月から6月まで毒素中和反応)

測定機器: 日立7170自動分析装置(平成14年3月31日まで)

測定試薬: デンカ生研(平成14年3月31日まで)

基準範囲:  239 IU/ml以下(平成19年12月10日より)
                    

         相関:n=87,Y=0.993X-3.104 r=0.993 (平成19年12月7日までと新試薬との相関)

過去の基準値: 159 IU/ml以下(平成14年7月1日より平成19年12月7日まで:外注会社試薬変更)

           成人:240単位未満、小児:320単位未満→参照扱い(平成14年6月29日まで)
           
273 IU/ml  未満(平成14年3月31日まで)

           
相関
           X=旧試薬
            Y=現試薬
           Y=1.112X-46.23   r=0.980

                    
260 IU/ml  未満(平成10年1月まで)


小児の基準値
 
一般に乳幼児、成人で低く、学童から思春期では高い。年齢に応じて上昇し5〜6歳をピークとする。新生児期は乳幼児期と比べると若干高い傾向がある。性差はない。

異常値を示す疾患

高値
補助診断: 
急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎、猩紅熱、滲出性喉頭炎、アナフィラクトイド紫斑病、その他の溶連菌感染症
非特異反応: 
ウイルス性肝炎、閉塞性黄疸、ネフローゼ症候群、結核性胸膜炎、高コレステロール血症、骨髄腫、本態性良性単クローン性高グロブリン血症、膠原病

低値: 低(無)ガンマグロブリン血症

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管   

関連項目

抗ストレプトキナーゼ(ASK)
ADN−B
ASP
AHD

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