C-反応性蛋白, CRP(C-reactive protein)


臨床的意義
CRP(C-reactive protein)は、肺炎球菌菌体のC多糖体と沈降反応する蛋白として見いだされ、免疫グロブリンIgMのように、5個のサブユニットが輪状に結合したペンタマー構造を有し、分子量105000である。炎症や癌などで組織障害などによって活性化された単球/マクロファージは、インターロイキン6(IL-6)、IL-1、TNF(tumor necrosis factor)αなどを分泌し、特にIL-6が肝細胞に結合し、CRPの産生を誘導し、血中濃度が上昇することになる。血清CRPの上昇は非特異的な反応であるが、組織損傷に敏感に反応し、炎症マーカーとして最も広く利用されている。また、癌の進展に伴って上昇するので、広義の腫瘍マーカーとしても有用である。

微量定量の臨床的意義
新生児感染症: 正常成熟新生児の基準値を越す値は異常高値とみなす。しかし、2日目以降では基準値だけを判定の基準にするよりも、むしろCRP値の漸増をとらえることは本症をより早期に診断し得る。1回だけのCRP値で判定する場合には偽陰性があり、見落とす危険性がある。

細菌性髄膜炎: 髄液のCRP微量測定により、細菌性髄膜炎と無菌性のものとの鑑別に利用し得る。髄液CRP値80μg/dl以上のときには細菌性髄膜炎が示唆される。

不安定狭心症: 不安定狭心症でCRP値300μg/dl以上の場合には心筋梗塞を併発する頻度が高く、心筋梗塞の予知マーカーとして有用である。

副腎皮質ホルモン剤投与時: ステロイド剤投与中に低濃度域を示す場合には、経過測定により基準範囲以上の上昇は感染症の合併が考えられる。

その他の病態: 造血系腫瘍ではしばしば異常低値を示す。多発性骨髄腫ではCRP300μg/dl以上を示す場合は生存期間が短くなる。骨転移を伴う前立腺癌では、CRP陰性ないし異常低値を示すことが少なくない。ホルモン剤、ステロイド剤投与によりCRPは急速に異常低値を示すようになる。SLEも血清CRP値が50μg/dl以下を示すことが少なくない。

以上微量定量の臨床的意義を述べたが、当院では測定方法が免疫比濁法のため微量定量は行っていない。平成18年7月18日より高感度測定法に移行

高値疾患
炎症性疾患(肺炎、敗血症など)、膠原病(リウマチ熱、慢性関節リウマチなど)、悪性腫瘍(上皮性癌)、組織壊死(心筋梗塞、手術後など)

測定方法:  ラテックス凝集免疫比濁法
         
免疫比濁法(平成18年7月14日まで)

測定原理: 抗CRP抗体を吸着させたラテックス粒子と検体を反応させ抗原・抗体反応により凝集反応がおこるのでこれを572nmの吸光度変化を捉え測定(平成18年7月18日より)
        
抗CRP血清(ウサギ)を用い抗原抗体反応を利用した免疫比濁法により測定(平成18年7月14日まで)

測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より)
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 積水メディカル(平成22年6月1日より)
        
デンカ生研(平成18年7月18日より平成22年5月31日まで)
               
ヤトロン(平成18年7月14日まで)

基準範囲 :  0.14 mg/dL 以下 (平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
           0.3 mg/dL未満  (平成6年9月から平成27年6月まで))
                  
0.4 mg/dl未満(平成6年8月まで)

相関
平成22年6月1日
X=旧試薬
Y=新試薬
Y=1.02X+0.04 r=0.999  n=239

平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.02X+0.001 r=0.999  n=200

平成6年9月
従来法:X
新法:Y
 Y=1.188X-0.275

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

赤沈
血清アミロイド蛋白(SAA)
白血球
シアル酸

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