ピルビン酸, pryuvic acid

臨床的意義
ピルビン酸は種々の代謝経路の交差点に位置する重要な化合物である。解糖系のピルビン酸キナーゼによってホスホエノールピルビン酸から生成され,乳酸脱水素酵素によって還元されて乳酸となる(嫌気的代謝)。 ピルビン酸脱水素酵素によってピルビン酸から生じるacetyl CoAはTCAサイクルの基質である(好気的代謝)。 ピルビン酸カルボキシラーゼによってピルビン酸から生じるオキザロ酢酸はホスホエノールピルビン酸に転換され,糖新生に利用される。一部のアミノ酸(アラニンなど)からの糖新生もピルビン酸を経由する。 このようにピルビン酸は種々の代謝系に関与している。したがってその血中濃度は、栄養素の摂取量、生成・利用の酵素活性、組織の酸素分圧などの総和として決定される。 NADH/NAD比が増大し、乳酸/ピルビン酸比(L/P比)が増大している場合を指して‘excess lactate’という概念が導入されている。しかし、L/P比が組織酸化還元状態を示すとみなすのは限界がある。 ピルビン酸は乳酸とともに測定されることが多く、組織循環不全の指標、組織酸化還元状態の推定、代謝性アシドーシス、先天性糖代謝異常症やミトコンドリアDNA異常症などの精査に利用される。

測定方法:比色法

測定機器:日本電子BM6050(平成26年3月24日から)
     日本電子BM1650(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
     日立7070自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬:デタミナーPA(ミナリスメディカル株式会社)

基準範囲  全血   0.4〜1.6 mg/dL   

相関
令和4年12月21日
X:旧採血管(ネオチューブPET プレイン(ニプロ株式会社))Y:新採血管(乳酸・ピルビン酸用スピッツ 1ML(日本硝子産業株式会社))の相関
y=0.969x+0.009  r=0.983  n=20
平成26年3月24日
X:BM1650、Y:BM6050
Y=0.89X+0.14  r=0.979  n=33
平成18年7月18日
X=旧機器、Y=新機器
Y=1.00X+0.01 r=0.999  n=51

異常値を示す疾患
高値:心不全、肝硬変、肝性昏睡、糖尿病、Glucose6-phosphatase欠損症、LDH(M型)欠損症、有機酸尿症、尿毒症、ビタミンB1(チアミン)欠乏症、cortisone、hydrocortisone、ACTH、ビグアナイド剤、thiazide剤、水銀、鉛、シアン

採取容器: 専用/LA・PA

関連項目

乳酸(LA)

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