サイトメガロウイルス, CMV ( cytomegalo virus) 

臨床的意義
 サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)は、βヒトヘルペスウイルス科のDNAウイルスである。初感染は、垂直感染(胎盤、産道、母乳)および水平伝播(唾液、血液、尿、精液、移植臓器など)による。多くは不顕性感染であるが、先天的および後天的に多彩な感染症を起こす。CMVは他のヘルペスウイルス科のウイルスと同様に、初感染後体内に潜伏感染(latent infection)し、宿主の免疫(特に細胞性免疫)が低下すると再活性化(reactivation)する。近年、ガンシクロビル(GCV)などの抗CMV剤の実用化にともない、いわゆるimmunocompromised host易感染性宿主のCMV感染症の迅速診断が必要とされるようになった。臓器移植後感染症の中でもCMV性間質肺炎は、カリニ性肺炎と同様、移植の予後を左右する注意を要する感染症である。移植患者におけるCMV感染は、初感染と再活性化の場合がある。輸血あるいはドナー臓器由来の初感染は、早期に発症する。一方再活性化の場合は、免疫抑制剤が維持量になる数ヶ月前までに間質性肺炎などで発症する。維持量になってからは網膜炎などの発症がみられる。後天性免疫不全症候群(AIDS)における日和見感染では、肺炎、胃腸炎、副腎炎など全身性感染を起こし、末期にはCMV網膜炎により失明することもある。健常人にも肝炎、伝染性単核症、輸血後症候群などを起こす。先天性CMV感染症(congenital CMV infection ; CCI)は、初感染の妊婦から胎児が経胎盤的に感染して起こる。巨細胞封入体症(cytomegalic inclusion disease ; CID)として古くより知られており、胎内感染の起因因子、いわゆるTORCH(Toxoplasma、others、Rubella、CMV、HSV)の中で最も頻度が高く、全出生児の0.29〜0.42%といわれている。典型的CIDは胎内感染の5%以下で、約95%は出生児無症状である。

測定方法: 蛍光酵素免疫測定法

測定原理:

測定機器: VIDAS

測定試薬: バイダスアッセイキットCMV IgG定量, CMV IgM定性

基準範囲       CMV IgG定量

4 U/ml未満 陰性
4〜6 U/ml 判定保留
6 U/ml以上 陽性

            CMV IgM定性

0.70 TV未満 陰性
0.70〜0.90 TV 判定保留
0.90 TV以上 陽性

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

サイトメガロ(C-HRP)
サイトメガロ(C10,C11)

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