岡山大学 腸健康科学研究センター

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研究紹介

研究紹介1:食事脂質が宿主-腸内細菌間の共生関係に及ぼす分子メカニズムの解明

 食事脂質は、エネルギー源として機能するだけでなく、食生活の多様性や嗜好性にも寄与する。一方で、脂質の過剰摂取は、宿主と腸内細菌の共生関係を変化させ、様々な代謝性疾患の発症要因となる。当ユニットでは、食事脂質が宿主の腸内細菌制御機構および腸内細菌の菌体構造に与える影響をそれぞれ解析し、脂質の過剰摂取によって引き起こされる宿主-腸内細菌間の共生関係の破綻を予防するための知見の創出を目指している。

研究紹介2:ヒト疾患に関与する腸内細菌叢の解明

 近年の研究から、さまざまなヒト疾患が腸内細菌叢の変化(ディスバイオシス)と関連することが明らかになってきた。当ユニットでは、造血幹細胞移植後の拒絶反応(GVHD)、歯周病、がん、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)などで病状を悪化させる腸内細菌叢の特徴を特定し、モデル動物を用いた実験により疾患悪化のメカニズムを明らかにすることを目指している。得られた知見を基に、疾患の発症や進展を予防・抑制することを目指している。

研究紹介3:歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの病原性の解明

 口腔内の細菌は、う蝕や歯周病を引き起こすのみならず、糖尿病や心血管疾患などの全身の疾患の発症や病態の憎悪に関与することがあります。その機構の1つとして、口腔細菌が腸に運ばれることで、腸の細菌叢を乱し、全身の健康に影響することが示唆されています。Porphyromonas gingivalisは、代表的な歯周病細菌で、その主たる病原因子に強力なタンパク質分解活性を有するジンジパインがあります。ジンジパインを含むいくつかのタンパク質は9型分泌装置によって菌体外に分泌されますが、我々はジンジパインが正常に機能するために必要な遺伝子群(オペロン)を本菌のゲノム上に見出しました。このオペロンに属する各遺伝子の役割を明らかにするとともに、ジンジパインの宿主に対する作用を解明することで、本菌を制御する方法の開発に資することを目指しています。