岡山大学 農学部

UNIV. TOP
LANGUAGE
ENGLISH
MENU

【プレスリリース】“母の財産”はどう分けられる?~初期胚におけるミトコンドリアの分配機構を解明~

2025年08月25日

 岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の若井拓哉准教授および学術研究院共通教育・グローバル領域の舟橋弘晃教授らの研究グループは、ミオ・ファティリティ・クリニックの見尾保幸院長、東京農業大学の河野友宏教授(当時)、オーストラリア・モナシュ大学生命医科学部門のジョン・キャロル(John Carroll)教授らとの共同研究により、細胞小器官であるミトコンドリアの適切な動きが、受精後の胚発生にとって極めて重要であることを明らかにしました。本研究成果は、2025年8月11日にアメリカの科学雑誌「eLife」に掲載されました。
 ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生み出す重要な細胞小器官であり、分裂と融合を繰り返す“動く細胞小器官”としても知られています。受精卵では、ミトコンドリアは活発に分裂し、小さく断片化された状態で細胞内に広く分布しています。
 ところが、ミトコンドリアの分裂を制御するタンパク質「Drp1」を欠く受精卵では、ミトコンドリアが凝集し、細胞分裂(卵割)の際に娘割球間で均等に分配されないことが明らかになりました。さらに、この異常なミトコンドリアの分布は、ミトコンドリア以外の細胞小器官、たとえば小胞体や染色体などにも影響を及ぼし、胚の発生が早期に停止する原因となることが分かりました。なお、ヒトの体外受精卵でも、類似した細胞内構造の異常が観察されることがあり、今回の成果は生殖補助医療(ART)の安全性や効率性を高めるための基礎知見として、今後の技術改善に貢献する可能性があります。

詳細は下記URLをご覧ください。

参照リンク

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1429.html

年度