二万大塚古墳 第2次調査 概要報告
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 2. 土 器

 今回の調査では、後円部石室、北くびれ部トレンチ、後円部東トレンチで、ほぼ完形のものも含めて多数の須恵器片・土師器片が出土した。

 須恵器について、現時点で確認できている器種は杯、高杯、ハソウ、壺、横瓶、提瓶、器台、甕である。

 杯身・杯蓋は後円部石室と北くびれ部トレンチで多数出土している。杯身は口径が12.4〜13.8p前後、器高は5p前後である。立ち上がりは高さが1.0〜1.4p程度で内傾し、端部は丸みを帯びている。受け部は外上方を向き、端部は丸みをおびるものと尖っているものがある。杯蓋は、口縁端部を丸くおさめるものと段をもつものとがある。天井部と口縁部の境は、鈍い稜をもつものと凹線をもつものに大別される。また、口縁部に刻み目を施すものや、口径が通常より大きなものが少数含まれる。これらの特徴から、今回出土した須恵器は概ねTK10併行期に相当すると考えられる。

 高杯は有蓋と無蓋の二種が出土した。有蓋のものは蓋部のみであるがほぼ完形で、口径14.8p、器高6.5pを測り、天井部中央に中凹みのつまみを有する。無蓋高杯は杯部下半に櫛描き列点文が施され、脚部は三方向に方形の透かしを二段もつものと透かしをもたないものとがある。また、脚部の破片の中には、上段に方形、下段に三角形の透かしをもつものも見られる。

 ハソウは器高16p、口径14p、胴部最大幅12pを測る。口縁部及び頸部上半に波状文が見られ、肩部に二条の凸線、体部には刻み目が施されている。

 壺類は短頸壺、広口壺が出土している。短頸壺は口径約8p、胴部径13.5p、器高7.5pを測る。広口壺は口径13.5p、器高16.5pを測る。後者は口縁部に稜をもち、肩部には櫛描き列点文がかすかに見られる。

 瓶類は横瓶、提瓶が出土している。横瓶は器高が21.8p、口径8.6pで幅20pを測る。形態は俵形で、体部の全面にカキ目が施されている。提瓶については把手と思われる部分の残存する破片が後円部東トレンチより出土している。

 器台は後円部石室で完形のものが2基出土している。そのうちの1基は脚部に三角形の透かしが四方向に四段あり、最上段のみ方形の透かしが施されている。各段の周囲を櫛描き列点文で充填し、2本の沈線で区画している。器高は40p、口径は30pを測る。また他の1基は三角形の透かしが三方向に三段あり、その上に方形透かしが三方向に二段、最上段には正方形透かしが見られる。器高は47p、口径は30pを測る。

 甕については後円部石室でほぼ完形のものが出土し、北くびれ部でも多数の破片が出土している。口縁部は断面が三角形のものと丸みをおびるものとがあり、頸部には波状文が施されているものと無文のものとがある。器壁の厚さは0.8〜1p程度で、外面には格子タタキ目文、内面には同心円文が最も多く見られる。

 また土師器について器種が確認できるものとしては無蓋高杯、脚付短頸壺、手捏ね土器がある。後円部石室より出土した無蓋高杯は、現状ではほとんど原形をとどめず、詳細について触れることはできない。また、同じく後円部石室より出土した脚付短頸壺は、脚部に方形の透かしを三方向に一段もち、体部中央には波状文が施されている。手捏ね土器は後円部東トレンチと北くびれ部トレンチから出土している。




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