二万大塚古墳 第2次調査 概要報告
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 3. 金属製品

 今回の調査では鉄鏃、馬具、青銅製品、その他不明鉄製品が後円部石室から出土している。また、北くびれ部トレンチからは鉄滓が出土している。

 鉄鏃は多数出土しているが、形態が判明するものは少ない。形態が明らかなものとして、長頸鏃の鏃身部と、圭頭式もしくは方頭式の鏃身部が出土している。その他、茎片が出土している。

 馬具は兵庫鎖、引手壺、ホ具、雲珠の脚、飾金具、鉤金具、鞍金具、青銅製馬鈴、またf字形鏡板と
剣菱形杏葉の一部と思われるものが出土している。このうち兵庫鎖、引手壺、ホ具以外は鉄地金銅張で
あることが確認できる。青銅製馬鈴は玄室と羨道から1点ずつ出土している。玄室で出土した馬鈴は上
から見ると八角形を呈し、横から見ると楕円球形を呈し、鈕を有する。計測値は全長約
10pで、楕円球
部長径約
8.5p、短径約7p、鈕高約1.5p、体部に3条の凸帯が施されている。羨道から出土した馬鈴
は玄室出土のものと比べ小ぶりで、球形の体部と鈕からなり、全長約
4.5p、体部約3.5p、鈕約1pで
体部の全面
に突起状の文様が施されている。馬鈴の明確な出土例は岡山県内では加茂町万燈山古墳で報
告されているのみであり、珍しい例であるといえる。



 その他、馬鈴以外の青銅製品として腕輪が出土している。径約8.8p、厚さ約1pで、側面は歯車状である。また、厚さ約0.30.4p、幅約2.5pの鉄板を渦巻状に巻いた不明鉄製品や、刀子の可能性のある鉄器片も出土している。その他鉄器片が多数出土しているが、現時点でその性格は不明である。




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