二万大塚古墳 第2次調査 概要報告
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 2. 遺物出土状況

石室からは、須恵器、土師器、埴輪片、鉄製品、青銅製品、中世土器片などが出土しており、埴輪片は石室のほぼ全面から出土している。

土器は、完形の須恵器数点の集中が1Eの玄室の中央寄りと、2Wの玄室袖部に見られる。1Eの集中部では杯身、杯蓋、壺、広口壺の完形を含む須恵器6点が出土した。2Wの集中部では杯身、杯蓋、高杯、●、短頸壺、広口壺、横瓶、器台の完形を含む須恵器16点が出土した。2Wの集中部にはその他に土師器の脚付短頸壺と高杯、金属製品も見られる。集中部以外では1Wの主軸沿いに大型の甕が、1Wの側壁側から杯蓋が、1E奥壁側から短頸壺が、2Wの側壁側から有蓋高杯の蓋がそれぞれ出土している。

また、金属製品にも集中部が見られ、1Wではほぼ全面から主に鉄鏃の茎と思われる金属製品が多数出土した。1Eでは引手壺、鏡板、杏葉、鞍金具、飾金具、鉤金具などの馬具を中心とした集中が見られる。その他に2Wの中央部からホ具金具と「うずまき状」鉄製品が、3Eの玄門側から兵庫鎖と思われる鉄製品が出土した。また、2Wの中央部から大型の青銅製の馬鈴が、3Wの側壁側から小型の青銅製の馬鈴が、4Wの羨道入り口付近から青銅製の腕輪と思われる遺物が出土している。

その他の遺物として2Wから水晶製の切子玉、1Wの中央と2Eの先行トレンチ内から瑪瑙製と推定される玉類と思われるものが出土している。


                      

        ↑大甕 (玄室中央 南西から)        ↑玄室袖部土器出土状況 (北東から)    ↑玄室東壁須恵器出土状況 (西から)





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