二万大塚古墳 第三次発掘調査 概要報告

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2. 土 器

今回の調査では、石室を中心に完形のものも含めて須恵器片・土師器片が出土した。

 
須恵器について、現時点で確認できている器種は杯、無蓋高杯、●、壺、器台、甕である。

 杯は、石室を中心に出土している。石室では、ほぼ完形の杯身が3点、杯蓋が5点出土している。杯身は口径が12.2〜13.8p前後、器高は5p前後である。立ち上がりは高さが1.3〜1.5p程度で内傾し、端部はやや段をもつものと丸くおさめるものとがある。受け部は外上方を向き、端部は丸みを帯びているものが多い。また、破片ではあるが、立ち上がりの高さが1.6p、口縁部に明瞭な段をもつものもあり、これは他の杯身とは異なった様相を呈している。杯蓋は口径が14.7〜15.0p前後である。口縁端部は丸くおさめるものと段をもつものとがある。天井部と口縁部の境は、凹線をもつものと鈍い稜をもつものとに大別される。これらの特徴から、今回出土した杯は、概ねTK10併行期に相当すると考えられる。

 無蓋高杯は石室で1点出土し、杯部下半に凹線や刻み目が施されている。脚部は、二段三方に方形の透かしを有する。

 ●は、石室で波状文や沈線、刻み目、カキ目が施されたものと、カキ目のみ施されたものがそれぞれ1点ずつ出土している。

 壺類は、石室で短頸壺2点、脚付長頸壺1点が出土している。短頸壺は、肩部にカキ目が施されている。脚付長頸壺は、口径が9.9p、器高は27.0pである。凹線や刻み目、カキ目を配し、脚部には二段三方向に方形の透かしを穿つ。

 器台は、石室と前方部北トレンチで、いずれも脚部の破片が出土している。三角形の透かしを四方向、あるいは三方向に穿っている。

 甕は、破片が全ての調査区で出土している。頸部には波状文あるいは刻み目が施されている。外面には格子タタキ目文、内面には同心円文が最も多くみられるが、内面に当て具痕が認められないものや、体部外面にタタキ目文がみられないものもある。

 また、土師器については、破片が石室や前方部北トレンチで出土しているが、ほとんど原形をとどめず詳細は不明である。また、ほぼ完形の手捏ね土器が前方部北トレンチで1点出土しており、復元口径は5.0p、復元器高は4.4pを測る。



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