二万大塚古墳 第三次発掘調査 概要報告

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2. 遺物出土状況

 今回の調査において石室からは、須恵器、土師器片、鉄製品、青銅製品、玉類などが出土している。

 土器は、須恵器が1Eの玄室中央寄りから集中して出土している。1Eでは杯身、杯蓋、脚付長頸壺、●を含む須恵器6点が出土しており、これは昨年度の調査における1Eの須恵器集中部と一連のものと考えられる。その他では1W側壁側から●、1E側壁側から杯身、杯蓋、2Wから杯身、杯蓋、高杯、3区主軸沿いから短頸壺、脚付長頸壺の蓋がそれぞれ出土している。このうち2Wのものは昨年度の調査における2W須恵器集中部の周辺部にあたる。土師器は破片のみが石室全体から少量出土している。

 金属製品では鉄鏃、馬具が石室全体から多く出土している。鉄鏃は1W側壁側、2W玄室中央寄りから集中して出土している。1Wでは向きがある程度揃った状態で、2Wでは不規則な向きで、鉄鏃がそれぞれ積み重なって出土している。また、馬具は1E、2Wから集中して出土している。1Eでは剣菱形杏葉、轡、ホ具、?などが出土し、1E須恵器集中部と同じく、昨年度調査の集中部と一連のものと考えられる。2Wでは馬鈴、雲珠、壺鐙金具、剣菱形杏葉、辻金具、ホ具、?、責金具などが出土している。これら以外で馬具は1Wから馬鈴、壺鐙金具、辻金具、磯金具、2Eから飾金具、3Wから飾金具、責金具、3Eから兵庫鎖が出土している。馬鈴は大型のものが2W玄門付近から1点、小型のものが1W玄室中央付近から1点、2Wから5点がそれぞれ出土している。その他、鉄製品として石室全体から鉄釘、1E中央から鎹が出土している。また、鉄刀は1W主軸沿いから1点、2E中央から1点、3W側壁側から2点がそれぞれ出土している。青銅製品は1E玄室中央付近から鏡、1E側壁側から?と思われる金具、1W玄室中央付近から筒金具が出土している。

 装身具として、耳環と玉類が出土している。耳環は1W、1E、2Wからそれぞれ1点ずつ出土している。玉類は、碧玉製管玉、水晶製切子玉・算盤玉、琥珀製棗玉、空玉、ガラス製丸玉・小玉、土玉などが出土している。玉類は1Wから比較的多く出土しているが、石室全体に散在している。



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