二万大塚古墳 第三次発掘調査 概要報告

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3. 前方部北トレンチ

 第1トレンチでは、前方部におけるテラス及びそのコーナーの確認と、埴輪列の有無の確認を目的とし、16ラインから西に6.0m幅、AYラインから北に1.0mの所を基点に、北へ3.5m幅でトレンチを設定した。調査の結果、昨年度調査の北くびれ部トレンチにおいて検出された円筒埴輪列に続くと思われる円筒埴輪を8基検出したものの、途中で途切れており、前方部前面に続いていたかどうかは確認できなかった。掘り形は布掘りで、東から5基までの範囲で確認された。また、墳丘の構築方法を確認するために東壁側から西へ0.5m幅の先行トレンチと、南西隅から東西に2.0m、北に0.5m幅のサブトレンチを設定して掘り下げた結果、昨年度までの調査成果と同様に 黒色と黄色の土を互層状に盛っていることが判明した。

 第2トレンチでは前方部コーナーの位置や形状を把握し、前方部幅を決定することを目的として、AVラインから南に3.5m、19ラインから西に3.5mの範囲でトレンチを設定した。全面で遺構面を検出し、前方部端を確認することによって、前方部幅は24mと推定される。また、墳丘の構築方法を確認するために東壁側と南壁側に0.75m幅でサブトレンチを設定して掘り下げを行い、それぞれ地山を検出した。さらに、墳丘外の土層の状況をより詳しく検討するために、トレンチの南西隅から西に1.0m、北へ0.75m幅で拡張した。その結果、地山を削り出した上に造成土を盛り、その後黒色と黄色の土を互層状に盛って墳丘を構築していることが判明した。

 
出土遺物は、埴輪片や土器片、須恵器片である。第1、2トレンチとも埴輪片が多く、須恵器片は数点見られる程度である。特に第2トレンチにおいては土器片が多く、特徴的な遺物として手捏ね土器が盛土中から出土しており、前方部において何らかの祭祀が行われた可能性がある。




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