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第3章 定西塚古墳


4.遺物


装身具ほか


装身具

 装身具は、玉と耳環がそれぞれ1点ずつ出土している。

 玉(実測図)は石製と考えられるが、石材は不明である。色は黒褐色を呈する。孔は一方向から穿孔され、直線的に貫通している。外径1.3cm、孔径0.3cm、厚さ1.0cmである。

 耳環(実測図)は外径2.0cm、内径1.2cm、断面は楕円形を呈し長径0.7cm、短径0.5cmを測る。合わせ目の間隔は0.2cmである。銅地金張りの耳環であり金が全体に良好な状態で残存している。


その他

 ここでは、鉄釘、鎹、刀子、鉄滓を扱う。

 鉄釘(実測図)は、小片も含めて63点が出土しており、そのうち頭部の残存するものは31点を数える。頭部形態は、いずれも先端を打ち伸ばした後に折りまげて成形されている。鉄釘は大きさで大小の2種類に分類でき、大形のものは8cm前後で3B区に、小形のものは6cm前後で3A区に主に分布するものである。小形のものの中に木質の残存状況から棺材の厚さが推定されるものがあり、約3cmを測る。3B区では、3点の鉄釘が先端を上にした形で出土しているが、それらはすべて大形に属するものである。3次調査において2B区で出土していた大形の釘が今年の調査の大形の釘と、袖部付近で出土していた小形の釘が今年の調査の小形の釘と同一種類となると考えられる。

 鎹(実測図)は西塚石室において6点が出土しており、そのうち石室3A区出土のものは片方の先端が内側に屈曲するものの完形である。全長9.2cm、断面0.7×0.5cmで、端をほぼ直角状に4.8cm折り曲げ、先端に向かって細くなっている。鎹はいずれも石室3区から出土しており、木棺の棺材接合に関係していたと考えられる。

 刀子(実測図)はすべて破片であるが、石室で7点、北トレンチで2点の計9点が出土している。石室1A区で出土したものについては残存長7.0cm、刃部幅1.0cmを測り、関は両関で刃部側、棟部側ともになだらかな傾斜をもつものである。関から茎にかけて木質が残存している。

 鉄滓は西塚前庭部で13点、西塚石室で6点、西塚北トレンチで4点の計23点が出土している。

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岡山大学文学部考古学研究室copyright,1997

制作者:西田