勝負砂古墳第4次調査・二万大塚古墳第4次発掘調査 概要報告

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調査の経過

 調査は、227日から331日までの期間、岡山大学考古学研究室の1年生から3年生と4年生の一部、及び大学院生が参加して行った。勝負砂古墳の調査目的は、主体部の有無・規模・構造の把握、前方部側の墳形の確認、それと関連して予備調査によって確認されていた溝状遺構の形状把握である。二万大塚古墳では、石室の完掘による石室構造、遺物出土状況の最終的な把握を目指した。

勝負砂古墳 伐開作業など環境整備に手間取り、3日目から各トレンチで本年度の調査を開始した。墳頂部トレンチでは、墳丘主軸とそれと直交するラインに十字のベルトを残して掘り下げを行い、遺構面と乱掘坑かと思われるラインを平面で検出した。ベルト沿いに先行トレンチを設定し、乱掘坑内の埋土除去を行ったところ、地表下約1.8mで赤色の盛土上面を確認した。盛土と乱掘坑の掘り込みの境界を確定するためタチワリを入れ、盗掘坑ラインの確定の後、調査区全体で埋土の除去を行った。さらにトレンチ南東区にタチワリを入れ、地表下約3.4m付近で板石状の礫、人頭大の礫と粘土質の土を検出した。その後、壁際やタチワリ内を土嚢で保護して埋め戻しを行い、シートで封鎖して本年度の作業を終えた。

前方部トレンチでは、2つのトレンチを設定して調査を行った。Aトレンチの墳丘側(北側)では、遺構面を検出した後に南側50cmにタチワリを入れ、地山まで掘り下げた。その途中に古墳時代の盛土と考えていた土層から埴輪片が出土したため、古墳時代以降の盛土として墳丘側全面で地山まで掘り下げた。南側平坦面では、全面を地山まで掘り下げた。掘り下げの途中でBC18付近からピット、BE18付近で被熱したピットが検出され、半裁を行って完掘している。地山検出後2ヵ所にタチワリを入れて地山を確認し、埋め戻しを行った。Bトレンチでは掘り下げを行い、その途中で埴輪片を多量に検出したため西側に1m拡張し、さらにその後東側にも1m拡張して掘り下げを行い、地山を検出した。北側にタチワリを入れて地山を確認した後、埋め戻しを行った。

 また、周辺の補足測量を行い、レベルとグリッドの基準となるコンクリート杭をBA0に設置した。補足測量は完了していない。

二万大塚古墳 後円部石室では残していたベルト部分の掘り下げを行った。縦断ベルトの掘り下げの後に奥壁側、中央、玄門下の横断ベルトの掘り下げを順次行った。羨道部では石室主軸に直行したタチワリを2ヵ所設定し掘り下げた。その後、全面を地山まで掘り下げ完掘した。掘り下げの際に須恵器、玉類、鉄器類などの遺物が多数出土している。室実測の後に天井部と羨道部の封鎖作業を行い、二万大塚古墳の全調査を終了した。

今年度は、320日に現地説明会を行った。また昨年度と同様インターネットを通じて調査の経過およびその成果を随時紹介し、資料の公開をしている。



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