勝負砂古墳第4次調査・二万大塚古墳第4次発掘調査 概要報告
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1.土器
今回の調査では、須恵器、土師器が出土した。
須恵器について、現時点で確認できている器種は杯、無蓋高杯、壺、器台、甕である。
杯身は、口径が12.5〜13.7cm前後、立ち上がりの高さが1.2〜1.5cm程度で内傾し、口縁端部は丸みをおびるものがほとんどである。杯蓋は口縁端部が丸みをおび、天井部と口縁部の境に鈍い稜をもつものが主である。これらの特徴から、これまでの調査で出土しているものと同様に、概ねTK10期に相当すると考えられる。しかし今回の調査では、口径12cm、立ち上がりの高さ0.8cmの杯身や、天井部と口縁部の境に稜や凹線が見られず、径の小さい杯蓋が数点出土している。これらは概ねTK43期に相当すると考えられ、個体数は少ないものの、追葬を示す可能性が高いと思われる。
無蓋高杯は、杯部下半に櫛描き列点文が施され、脚部に一段三方向の方形透かしを有するものと、杯部下半に波状文が施され、脚部に二段三方向の方形透かしを有するものが出土している。
壺は破片が数点出土しており、頸部には波状文が施され、体部内面に同心円文が見られる。また、長頸壺の蓋と思われるものが1点出土している。
器台は、脚部の破片が出土しており、波状文と三角形の透かしが見られる。
甕は、破片が多数出土しており、外面には格子タタキ目文、内面には同心円文が最も多く見られる。
また、土師器については、壺が1点出土しているが、調整などは不明である。その他のものはすべて破片である。
【参考文献】 田辺昭三1981『須恵器大成』角川書店