3月20日【木】

 

 

 墳頂部トレンチ西小口外側タチワリでは、昨日に引き続いて掘り下げを行っています。調査区がかなり深くなってきており、土層の性格を考察していく段階に入りました。これまでの調査から墳丘の築造工程が分かってきていますが、今回の調査では石室の構築過程を明らかにできるため、土層の観察は充分な吟味をしながら進めていきたいと思います。
 SE区内タチワリでは、土層の性格をこれまでの調査結果を考慮しながら検討しています。こちらでは石室を外側から支える積み石(控え積み石)と土層の関係が、比較的細かい単位で確認できています。それぞれの石と石との間に土を盛るようにして、しっかりと石室内外の構造を補強しています。
 石室内南壁際タチワリでは、砥石を検出し取り上げました。その後、清掃作業を進めていくと、鑿(のみ)であろうと考えられる鉄器の形が少しずつ分かってきました。また、昨年度の調査でも石室内のこの付近で砥石や壺が確認されており、南壁際の部分は工具を集中して配置しているようです。

 後円部東第2トレンチでは、昨日までに掘り下げた調査区(タチワリ)の両壁の底面で、わずかに確認されていた古墳築造当時の地表面と思われる層を、ほぼすべての壁ではっきりと確認できました。明日からそれぞれの層の性格と、築造当時の古墳がどのような形であったのかを確認していきたいと思います。
 後円部東第3トレンチでは、現在、築造当時の古墳がどんな盛り方をされていたのかを明らかにしようとしています。そのためには、古墳築造に際して盛られた土と、後世に自然に堆積・流入した土との境界がどこになるかが重要となります。現在は、その境界を調査区の壁を観察して検討していますが、なかなか簡単にはいきません。明日も引き続いて検討を行い、調査団全員で共通見解をとり、記録として図面や写真に残していきます。

 調査も後半戦に突入し、それぞれのトレンチで古墳が築造される過程が徐々に明らかになってきました。これから疲れが見えてくる頃なので、ケガをしないように気を引き締め直して調査にあたりたいと思います。

石室西内小口タチワリでの掘り下げ
礫をはずした下から粘土が見えています。
SE区内タチワリ
一層一層土の違いを調べています。

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