3月26日【水】

3月もあと少しで終わりというのに、今日は肌寒い一日でした。

 墳頂部トレンチの作業は終盤に向かい、記録作業や検討を中心とした作業になりました。
 西小口外側タチワリとSE区内タチワリでは、石室を外から支える石(控え積み)がどのように積まれ、またそれはどの土の層にのっているのか、ということを二つのタチワリ間で確認しあいました。その結果、石室の南側壁の外側にあたるSE区内タチワリでは、控え積みの石に長細い形のものを使い、その石の短辺を石室側にそろえているのに対し、西小口の外側は角ばった石で特に細長くはない石を積んでいるのが大きな違いと言えそうです。
 石室内西小口壁際タチワリでは、昨日掘り下げ終わったタチワリ内の土層の重なりを検討し、それを図面に記録しました。その結果、今掘った一番下の部分には表土を用いた土が置かれ、その上にオレンジ色の土を置きその上に壁の最下段の石を載せ、さらに床面を形つくるようにオレンジ色の粘質の土を敷いているのが分かりました。床面と壁がどういった順序でつくられたのかは、明日最終的に検討を行いたいと思います。
 石室内南側壁際タチワリでは、取り上げても取り上げても出土していた鉄器をすべて検出し、記録して取り上げ終わりました。ここでの鉄器の取り上げ作業は本当に長時間に及ぶ作業でしたが、上から粘土を置くという副葬の仕方について、今後重要な資料となると考えられます。また、タチワリ内の掘り下げも終了し、ここでも土層の重なりを検討してそれを記録する作業に入っています。
 そのほかに、石室北西隅で出土していた玉を取り上げるために周辺の清掃を行ったところ、床面に置かれた粘土の下にある円礫に鮮やかな朱色の顔料が付着しているのが分かりました。また玉の取り上げも行いましたが、さらにその下から出土したため、明日も引き続き取り上げる作業を行い、朱色の顔料の付着した円礫もサンプルとして取り上げる予定です。

 後円部東第2、3トレンチでは、構築された当時の墳丘面(遺構面)をどことするかの検討を終え、図面作業に入っています。何日間もかかって検討した土層の重なりをしっかりと記録にとって、図面にしてみてはじめて分かることもあります。後円部東のトレンチの場合、古墳の真ん中を通る軸(墳丘主軸)に沿っていることから、これまでの調査で主軸に沿って掘ったトレンチとの土層の関係を見ることができます。これからの発掘の整理作業によって、墳丘の構築方法がより詳しく分かってくるでしょう。

 発掘調査は明日ですべての作業を終える予定です。勝負砂古墳と私たち岡山大学考古学研究室との8年間の付き合いも、あとわずかで終わろうとしています。最後の調査、できるだけの情報を引き出して悔いの残らない調査にしたいと思います。

西小口外側タチワリでの控え積みの石。角張っている石が多く使われています。
SE区内タチワリでの控え積み
細長い石が多く使われていることがわかります。写真右側が石室です。

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