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岡山大学 環境生命科学研究科 藤原研究室は廃棄物マネジメントを専門分野とする研究室です。

〒700-8530 岡山市北区津島中3-1-1

研究概要CONSEPT

廃棄物マネジメントについて

 われわれは生活や活動のためにモノを取り込み、使い、不要なものをごみとして排出しています。昔からごみの排出の行為は変わらないのですが、生活の環境は劇的に変わりました。人がまばらに住んでいた農耕地域から、大勢が集まって暮らす都市域に人が移り住み、都市域もどんどん広がることによって、ごみを捨てる場所が無くなったのです。地域を管理する自治体や処理を請け負う業者は、ごみの捨て場を都会から遠くに求めざるを得なくなり、集めたごみを遠くまで運ぶことが当たり前のようになりました。
 日本では、明治時代から欧米からごみ焼却技術を取り入れ、燃えるごみは燃やしてから灰を農地に利用したり、埋め立てるように方針を変えました。衛生的に処理することが当初の目的ではありましたが、ごみの量を大幅に減らして埋立処分場を長持ちさせることに貢献しました。しかし、住民反対で新規の埋立処分場の建設は困難を極めたことから埋立処分場の不足は続き、各地において住民間のごみ処理・処分に関するトラブルが発生しました。さらに、ごみ焼却炉からの排ガスや灰の中に、ダイオキシン類と呼ばれる人類が意図せず作った最強の毒性物質が含まれているということがわかりました。これは、焼却路線をとってきた日本にとって重大な問題となりました。
 新しい流れは、市民のボランティアから生まれました。地域の住民がごみを減らすために自主的にごみを分別するようになりました。地方自治体も分別されたごみを個別に収集することで協力するようになりました。その市民活動が紹介され、同じ活動をする自治体が次第に増え、全国に広がりました。このような市民が自らリサイクル活動を活発化したのは20年前ぐらいからです。それまでは、ごみ量が増えるに従いごみ処理施設の受け入れ容量を増し、排ガスについても巨大な装置を設けて浄化し、有害物質を含む飛灰は指定の方法で処理するというように、民間の技術力でカバーする姿勢が主流でした。これは、発生した汚染物質を出口でコントロールしようとするEnd of Pipeの発想です。今から見ると問題解決の方法が偏っていたように思えます。
 そして、後付けではありますが、ごみを物質の流れの中で捉える考え方が生まれました。それが循環型社会です。これまで生産とごみ処理は、人間の機能で例えると、前者が動脈系で後者が静脈系である、動脈系は生産を表し、静脈流に乗せて栄養を体の末端にまで運ぶことがその役割で、静脈系は末端で発生した老廃物を静脈流に乗せて回収し、肝臓で解毒し、腎臓で分離し、尿や便として排出するのが役割で、それがごみの中間処理であり最終処分だ、ということを私は大学生のとき、衛生工学の授業で習いました。そのときは、生産や消費を支える静脈系は、排出されるごみを滞りなく処理することが必須であり、そのために高い技術力が必要だと理解しました。すなわち、当時は環境のために動脈系まで変えなければならないという発想はありませんでした。
 循環型社会は、動脈系においては資源生産性を上げてゆくことを目標にしています。天然資源に対する生産額(GDP)ですから、リサイクル品を積極的に使うことを支持しています。それから、資源循環率は流通する物質量のうち、循環する資源量の割合を増やすものであり、リサイクルそのものを支持しています。そして、出口指標である最終処分量は、これまで述べてきたごみの根源的原因である埋立処分量を減らすことを目的としています。循環型社会の考え方は、動脈・静脈の考え方をより発展させて、それらをどのようにコントロールすれば健全な(倹約的な)物質の循環社会を築くことができるかに焦点が充てられています。
 3Rで表される減量化(Reduce)、再利用(Reuse)、再生利用(Recycle)は、循環型社会の中の廃棄物の健全な流れです。ただ環境負荷を出さないように注意しながら、この3Rを定常化することが必要です。われわれの研究は、地域の条件を考えながら、廃棄物の発生状況と最終処分量の受け入れ状況をベースに、その途中に資源化や処理を入れながら、効率的につないでゆくことです。その過程はなるべく詳細に表したいと思っていますし、また重要な要素である経済性を含めなければなりません。国レベルや県レベルの大きな枠のなかでのマクロなごみの流れと、市町村のように道路に沿ったごみの流れとはスケールが異なります。マクロな計画をミクロな地域の具体のシステムや政策にインプリメントしてゆくことも必要です。また、施設建設や政策導入の時間軸での計画であるスケジューリングも考えなければなりません。これらの課題へのアプローチの仕方、具体的な手法、計算機の援用、現地での基礎データの収集などを研究の中で一歩ずつ現実のものにしてゆきたいと考えています。


指導教員のプロフィール

CEO


氏名:藤原健史、教授、工学博士
所属:廃棄物マネジメント研究センター(専任)、環境生命科学研究科 資源循環学専攻 循環型社会形成学講座 廃棄物マネジメント学分野、環境理工学部 環境デザイン工学科 環境影響評価学分野
専門分野:廃棄物工学、環境システム学、循環型社会学
最終学歴:平成元年 京都大学大学院工学研究科衛生工学専攻博士後期課程修了

職歴:
    平成元年 国立公衆衛生院衛生工学部流動研究員
    平成2年 京都大学工学部化学工学科助手
    平成4年 大阪大学基礎工学部情報工学科助手
    平成5年 同助教授
    平成6年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授
    平成8年 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻助教授
    平成14年 京都大学大学院地球環境学堂助教授
    平成19年 岡山大学大学院環境学研究科教授
    平成20年 岡山大学廃棄物マネジメント研究センター教授
研究歴:
    ごみ焼却炉の自動燃焼制御
    し尿の膜分離における膜ファウリング診断システムの開発
    化学プロセスデータからの時系列モデリングと制御
    ニューラルネットワークを用いた化学プラントの異常診断システム
    小型焼却炉内の熱流体解析
    火葬炉からのダイオキシン類の発生に関する調査
    アジアでにおけるメソスケールでの大気汚染物質の拡散計算
    家計消費行動と廃棄物排出行動のモデリングと予測
    海外における廃棄物マネジメントの設計と評価(多数)
    地震・洪水による災害廃棄物の発生量推計と仮置き場輸送計画
    画像処理による災害廃棄物の堆積量推計 など

これまで化学工学分野や情報工学分野で研究をした経験を生かして、ごみ処理システムのモデリングや、画像処理、最適化などを取り入れた廃棄物マネジメントの研究を進めています。


最近の活動

2014年
1月13日 「第4回集まれ!市民のエコライフ&テクノロジー」の開催
3月10~12日 「3R国際会議 2014 in 京都」(発表1、座長1)
7月5日 グアムで記念講演(予定)
8月5日 「第5回集まれ!市民のエコライフ&テクノロジー」の開催
2013年
1月28~29日 アジア3R自治体間ネットワーク会議に出席(座長1)
2月27~28日 SWAPIミーティング in 鳥取に出席(発表1)
3月18~19日 3Rフォーラムinハノイに出席
8月26-27日 SWAPIミーティング in クアラルンプール(発表2)
8月28~30日 ISDE会議 in クチン出席(発表1、座長1)
11月2~4日 廃棄物資源循環学会研究発表会(札幌)に出席(発表2)
12月5日 マレーシアジョホールバルにて「3Rに関する専門家会議」(Expert Talk)の開催
2012年
9月13~14日 地球環境シンポジウム
10月20~21日 環境システム研究発表会
10月25~26日 EICA研究発表会に出席(発表2)
10月27日 エコアクション21で特別講演
12月20~23日 エコバランス in 東京(発表 ?)
2011年
入力準備中
2010年
入力準備中
2009年
入力準備中
2008年
入力準備中
2007年
入力準備中

バナースペース

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