本学惑星物質研究所の中村栄三教授※が、鳥取県が設ける「星取県」の推進に顕著な功績があった個人または団体を顕彰する「令和2年度星取県推進功労者知事表彰」に選ばれ、3月31日、鳥取県庁にて表彰式が行われました。
鳥取県は、どの市町村からも天の川が見え、流星群の時期でなくても流れ星が見えやすい県です。また鳥取市は、環境省が実施する「全国星空継続観察」で1位になったことのある唯一の県庁所在地であり、定点観測地やその他観測地点において複数回、日本一に輝いています。このような星空環境に恵まれた中で鳥取県は「星取県」を名乗っています。「星取県推進功労者知事表彰」は、平成30年度から行われており、「星取県」の推進に顕著な功績があった個人または団体を顕彰するものです。
今回中村特任教授は、鳥取県三朝町にある本学惑星物質研究所で30年以上にわたり惑星の形成や生命の起源などに係る研究を実践した点や、地元三朝町を始めとする市町村が開催する生涯学習講座や、米子工業高等専門学校などの教育機関で講演などを通じて教育啓発活動を行い、宇宙科学への県民の関心向上に寄与したこと、さらに宇宙科学に関する県内での催事などに専門家として積極的に協力・参加し、観光・地域振興に貢献した点が高く評価され、「令和2年度星取県推進功労者知事表彰」に選ばれました。
表彰式では、平井伸治知事から表彰状と記念プレートが授与されました。今回の表彰について中村特任教授は「このようなユニークな賞を頂けるとは想像もしていませんでした。大変光栄に思います。これからも鳥取でお世話になります。大量の有機物を含むリュウグウの試料は人類が手にしたことのないもの。三朝で人類初の研究が始まるので鳥取県民には一緒にわくわくしてほしいです」とコメント。表彰の栄誉を糧にさらなる教育研究活動への意欲を述べました。
本学惑星物質研究所は、前身である地球物質科学研究センターを含め、地球科学の研究の最先端を担っています。特に2010年6月に探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子の解析を担当し、さまざまな新たな知見をしました。また、2020年12月に帰還した「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」のサンプルの解析を行うことにもなっています。さらに将来、火星からの回収試料なども見据えて所内の研究環境整備と人材育成を推進しており、これら「サンプルリターン」と呼ばれる回収試料の解析において惑星物質研究所は、世界でここでしかできない教育研究拠点を形成しています。また中村特任教授らは、異なる多くの分析装置を連携させ、有機・無機の複合体総合解析を実施できる世界唯一の研究基盤「地球惑星物質総合解析システム(CASTEM)」を計画的に整備構築し、学術成果へと結実させてきました。そしてこのCASTEMは、本学が内閣府の「国立大学イノベーション創出環境強化事業」に採択されたことで、遠隔総合物質解析システムの構築による共用機器の産業利用推進という教育研究の枠だけではなく、産業的価値のあるイノベーション創出を生み出すシステムへと成長を続けています。このように本学が世界に伍する研究大学としての人材と環境の基盤が惑星物質研究所には備わっています。今後の中村特任教授と惑星物質研究所の活躍にご期待ください。
※受賞時(3月31日)の所属と役職は、岡山大学惑星物質研究所教授であり、4月1日からは岡山大学自然生命科学研究支援センター特任教授となりました。
<参考>
・CATCH the STAR 星取県 Webサイト
・内閣府「国立大学イノベーション創出環境強化事業」に採択 イノベーションエコシステムの構築を加速(令和2年10月20日付岡山大学プレスリリース)
【本件問い合わせ先】
岡山大学自然生命科学研究支援センター 特任教授 中村栄三
(勤務地:岡山大学惑星物質研究所)
TEL:0858-43-1215(代)
E-mail:eizonak◎misasa.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
HP:https://pml.misasa.okayama-u.ac.jp/home.php
中村教授(惑星研)が「令和2年度星取県推進功労者知事表彰」を受賞
2021年04月12日