国立大学法人 岡山大学

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那須学長が国連HESIグローバルフォーラム2025に登壇 — 岡山大学の国際連携と若者参画の取り組みを世界に発信 —

2025年08月01日

 那須保友学長が、7月21日に開催された国連主催の「高等教育サステナビリティ・イニシアティブ(HESI)グローバルフォーラム2025」に登壇しました。同フォーラムは、国連「持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)」の公式特別イベントとして実施され、那須学長は日本から唯一の招待スピーカーとして参加しました。
 フォーラムのテーマは、「持続可能な開発における科学的・包摂的で公平な解決策により不平等によって生じる課題を打ち破る」で、世界各国から政策立案者、国際機関、大学関係者、学生、市民団体など300人近くの参加者がオンライン上に集結。高等教育分野のSDGs達成に向けた議論が活発に行われました。時差があるにも関わらず、このように多くの参加者が集まったことは、テーマへの強い関心と国際的な連帯の高まりを示しています。
 那須学長は、分科会セッション3「連携と社会参画:高等教育が果たすべき役割の強化」に登壇し、若者団体や市民社会のリーダーとともに、高等教育機関がどのように政府・民間・市民などと連携し、地域社会と協働しながら持続可能な開発課題に取り組めるかについて提言を行いました。
 講演の中で那須学長は、「大学はシンクタンク(知を生み出す場)にとどまらず、アクションタンク(行動を起こす場)でなければならない。研究、教育、地域との協働を通じて、人々と地球のウェルビーイングに積極的に貢献すべき」と強調し、岡山大学の持続可能性に向けた特筆すべき取り組みを紹介しました。
 まず、地域連携として、国連大学RCE(地域のESD拠点)ネットワークのもとで進めてきた「岡山ESDプロジェクト」を紹介。このプロジェクトでは、岡山市内の37か所の公民館と400以上のパートナー団体が連携し、災害教育や生物多様性、持続可能な食に関する世代を超えた学びを実践しており、その実績は、2016年のユネスコESD賞および2017年の第1回ジャパンSDGsアワード特別賞の受賞など、国際的にも高く評価されています。
 次に、組織整備として、ユネスコチェアの活動を大学の中核的な意思決定プロセスに統合した「グローバルエンゲージメントセンター」を紹介。2025年度に文部科学省の支援を受けてセンター化し、学内における分野横断的なSDGs教育・研究・実践を推進するための体制を整えるとともに、7人の副チェアを配置し、各部局においてSDGsに整合した取り組みを組織的に推進しています。
 さらに、若者の積極的な参画と、科学・技術・イノベーション(STI)分野におけるジェンダー平等の重要性にも言及。具体的には、本学では世界で初めてユネスコチェア公認ユースアンバサダー制度を創設し、若者が国際舞台で声を届けることができる機会を提供していることを紹介しました。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)と連携して立ち上げた「若手女性科学者プログラム」では、アフリカ、ASEAN、中南米の若手女性研究者を日本に招へいし、実践的な研究環境を提供することで、途上国のSTI分野におけるジェンダーギャップの解消を目指しており、当該プログラムは、過去に国連STIフォーラムにおいて優良事例として紹介されています。
 発表後には、セッション参加者からの「資源やネットワークが限られている状況で、どのように行動を始めればよいか?」という質問に対し、那須学長は「小さく始めて、続けること。始めることが大切。」と回答し、全体報告会でもモデレーターによって、この観点が紹介され、多くの参加者の共感を得ました。
 今回のフォーラムでは、HESIパートナーシップ・フレームワークの立ち上げも発表され、国連機関、大学、学生、パートナー団体が教育・研究・政策において連携し、持続可能な未来の構築を目指す新たな国際的協働の枠組みが始動しました。
 岡山大学は今後も、地域に根ざし、世界とつながる大学として、「競争より協調」の精神のもと、持続可能な社会の実現に向けてリーダーシップを発揮していきます。

【本件問い合わせ先】
グローバルエンゲージメントセンター
TEL:086-251-8326(企画部 国際企画課)

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