9月2日、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)が国連大学(東京)で開催した「Human-Centered Approach to AI in Higher Education: Knowledge Exchange Between Asia and Japan(高等教育における人間中心のAI活用:アジアと日本の知識交流)」に本学から学術研究院医歯薬学域・地域医療共育推進オフィス長の香田将英准教授(特任)と横井篤文副学長(グローバル・エンゲージメント担当・ユネスコチェアホルダー)が専門家として招聘され、2つのセッションにそれぞれ登壇しました。
同セミナーはアジア開発銀行(ADB)の専門能力開発プログラムの一環として実施され、アジア各国から政府関係者や高等教育リーダーが集まり、教育・研究・大学経営におけるAI活用の可能性と課題について、倫理性・包摂性・人間中心性の観点から活発な議論が行われました。日本の主要大学からも専門家が登壇し、数理・データサイエンス・AIの新カリキュラムや学習成果の予測分析、AI倫理やガバナンスに関する研究など、各大学における最新の取り組みが紹介されました。
香田准教授(特任)は専門家セッションで「AI-simulated patient interactions(AIによる患者面接シミュレーション)」と題した発表を行い、AIが患者役を担うことで医学生が医療面接を訓練する教育システムを紹介しました。このシミュレーションは、学生が失敗を恐れずに繰り返し学べる安全な環境を提供するだけでなく、逆に学生が患者役となって医療者役のAIと対話することで、患者の視点を深く理解し共感力を育む可能性についても言及しました。さらに、学生同士が協力してAIと対話するという協働学習としての活用法も提案し、多角的な視点からの学びを促進できると述べました。発表の中で参加者がデモ版を実際に体験する機会も設けられ、参加者からは、学生が安心して学べる環境づくりや共感力育成の効果を評価する声が寄せられました。
横井副学長・ユネスコチェアホルダーは、アジア各国の教育関係者との対話セッションに参加し、本学におけるAIの活用と方針を紹介するとともに、ユネスコが倫理的で包摂的なAIの実現を目指して世界的な指針づくりの先頭に立っていることを共有しながら、安全で包括的、かつ価値観に基づいた形で高等教育システムにAIを統合する重要性を述べました。その中で、ユネスコが長らく警告してきた通り、先進国で開発されたAIは文化的に中立ではないといったデジタル主権と文化的正義の問題にも触れ、アジア・ASEANによる、アジア・ASEANのためのAI開発の意義も強調しながら今後の大学としての国際的な協力や共同研究の意義について活発な意見交換をしました。
今後も本学は、地域社会および国際社会と知見を共有し、AIを活用した教育的取り組みをさらに拡充するとともに、倫理的かつ包摂的な技術革新を進めることで、地域と地球のありたい未来の共創に貢献していきます。
【本件問い合わせ先】
グローバルエンゲージメントセンター
TEL: 086-251-8326(企画部国際企画課)
香田将英准教授(特任)と横井篤文副学長が国連大学・アジア開発銀行共催セミナーでAI活用事例を紹介!
2025年09月10日