国立大学法人 岡山大学

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世界的補聴器メーカーOticon研究責任者が来岡 岡山市・本学と聴覚支援で連携強化

2025年09月30日

 9月19日、世界的補聴器メーカーOticon(デンマーク、Demantグループ)オーディオロジー応用研究センター研究部門長のセバスチャン・サントゥレット博士が岡山を訪れ、岡山市および本学の関係者とともに聴覚支援の取り組みを視察し、意見交換しました。
 一行はまず、児童発達支援センター「岡山かなりや学園」を訪れました。同園は日本で最初に設立された難聴幼児通園施設で、令和4年に新築され、現在80人以上の園児が通園しています。同園では、検査室や指導室などの設備を見学し、補聴器や人工内耳を用いた療育の実際に触れました。日本におけるインクルーシブ教育の課題や、岡山県が推進する「聴覚障害児支援中核機能強化事業」について説明を受け、デンマークとの違いも含めて教育と医療の連携の在り方について意見を交わしました。
 続いて岡山市役所を訪れ、同市が取り組む加齢性難聴対策について意見交換しました。世界アルツハイマーデーに合わせて同日に開催された講演会やパネル展示、加齢性難聴の早期発見・早期ケアの重要性を紹介する動画のほか、聴覚検診車「Audika Go」による検診の様子も見学し、行政の役割、企業の社会的責任、補聴器技術の将来などをテーマに岡山市、本学、企業の担当者と意見を交換しました。博士は、聴覚検診車を活用して、行政・大学・企業が連携し加齢性難聴対策に取り組む国際的にも珍しい仕組みについて、「行政・企業・大学などの公民連携(Public Private Partnership:PPP)の好事例」として高く評価し、その効果検証と今後の展開に期待を寄せました。
 本学は岡山市およびデマント・ジャパン株式会社と「City for Better Hearing(聞こえのまちづくり)」に関する連携協定を締結し、地域に根ざした聴覚支援モデルを推進しています。この取り組みは、地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の一環でもあり、国際的な学術的・社会的意義を持つ先進事例を目指し、取り組んでいます。
 岡山大学病院聴覚支援センターの片岡祐子センター長補佐は「聴覚障害児への適切な支援や真のインクルージョンは、まだ十分に浸透しているとは言えません。また加齢性難聴は認知症との関連も指摘されており、国際的にも重要な課題です。我々は医療・療育・行政・企業が一体となり、先進的かつ展開性のあるGood Practiceを創出し、全国に広げていくことを目指しています。DemantグループOticon本社との意見交換は、地域に根ざした支援を世界的潮流と結びつける大きな意義を持ちます。今後も岡山市やOticonと連携を深め、新たな聴覚支援モデルをさらに発展させていきたいと考えています」と話しています。
 今回の訪問は、行政・大学・企業が協働して進める岡山の聴覚支援の取り組みについて、今後さらに連携を深めて新たなモデルを築いていく大きな一歩となりました。

<参考>
岡山市では市民の聴覚健康を守るため、聴覚検診や補聴器購入助成などの施策を展開しています。詳細は下記の岡山市公式サイトをご参照ください。
あなたの聞こえをチェックしてみませんか?|岡山市


【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構
TEL:086-251-7151
E-mail:co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

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