本学は内閣府「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」の一環として、耕作放棄地の再生と自然共生型の地域づくりに挑戦する「おかやまシネコカルチャー(協生農法)プロジェクト」を推進しています。本プロジェクトは、岡山大学津島キャンパス内のほ場で既に実証を進めていますが、今回はその取り組みを地域に広げる第一歩として、10月12日に岡山県新見市で「シネコカルチャープロジェクト in 新見」を実施しました。
新見市では、伝統工芸である神代和紙の原材料(楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・トロロアオイ)の生産が近年途絶えており、地域資源としての再生が課題となっています。今回の活動では、これらの植物を協生農法の理念に基づいて再び育てることで、地域固有の文化と生態系を両立させる新たな挑戦をスタートさせました。
当日は、農学部・工学部・経済学部・グローバル・ディスカバリー・プログラムの学生5人と資源植物科学研究所の研究者、産学連携担当者に加え、岡山大学発スタートアップ2社、地域関係者、さらに幼稚園児や小学生も参加し、世代を超えた協働の場となりました。
今回の企画は、今年3月に岡山大学を卒業し現在は新見市地域おこし協力隊として活動する土屋千尋氏が中心となり立案、学生チームを組織しました。冒頭、神代和紙の振興に取り組む「こうじろ和紙屋」代表の土屋俊介氏から、和紙原料の特徴や協生農法の基本理念について説明がありました。
説明の後、参加者は草刈りや畝立てなどほ場の整備を行い、楮の苗を植え付けました。今回のほ場は、かつて販売用の菊の畑として利用されていた土地を再生したもので、日当たりや風通しに恵まれた環境です。さらに協生農法の理念に基づき、多様な植物が共生する環境をつくるため、イチゴの苗やニンニクも併せて植え付けました。これにより、単一作物ではなく複数の植物が相互に補い合い、土壌の健康や生態系の多様性を維持しながら持続的な農地再生を図ることが期待できます。
今回の取り組みは、地域に根ざした持続可能な農業実践の第一歩であると同時に、学生や子どもたちが自然との関わりや地域の伝統文化を体験的に学ぶ貴重な機会となりました。当日は、参加者の熱意あふれる姿など、地元メディアから取材を受けました。
今後は、和紙原料の栽培に加え、楮・三椏・トロロアオイが持つ潜在価値の最大化に向けて、和紙のブランディングや生成AI・画像認識・ロボティクス技術の導入など、「環境×テクノロジー」を融合させた協生モデルづくりを進めていきます。岡山大学は引き続き、産学官民の連携を通じて、自然共生と地域文化の再生を両立する新たな地域共創のかたちを探求していきます。
【参考情報】
協生農法とは(Sony CSL)
※「協生農法®」は株式会社桜自然塾の登録商標。
※「Synecoculture™」はソニーグループ株式会社の商標。
【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部 舩倉
TEL:086-251-7151
Email: co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
地域共創型取り組み「おかやまシネコカルチャー(協生農法)プロジェクトin新見市始動」 ~伝統工芸・神代和紙の原材料再生に向けて~
2025年10月17日