本学が事務局を務める産学官連携組織おかやまデジタルイノベーション創出プラットフォーム(OI-Start)は、10月18、19日に開催された倉敷屏風祭において、来場者の体験価値向上を目的とした「鑑賞DX(デジタルトランスフォーメーション)」の実証実験を実施し、好評を博しました。
本実証は、倉敷商工会議所・地域企業・倉敷市などで構成される実行委員会が主催する同祭で、本学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の中澤篤志教授の研究室(以下、中澤研究室)、OI-Start会員企業のピープルソフトウェア株式会社、岡山県立倉敷青陵高等学校(以下、青陵高校)が連携して行われました。デジタル技術を活用して伝統文化の鑑賞体験を深め、地域創生につなげることを目的とした、OI-Startの産学官連携プロジェクトの一環です。
今回の実証では、中澤研究室が開発した「鑑賞ファシリテートシステム」を社会実装に向けて試験的に導入しました。同システムは、ロボットと生成AIを組み合わせて新しい鑑賞体験を創出することを目的とした共同研究の成果です。
展示会場の倉敷市立倉敷公民館第1会議室では、青陵高校美術部・書道部の生徒が制作した創作屏風『花鳥風月』をテーマに、複数のロボットが来場者と対話するデモンストレーションが実施されました。来場者からは「AIが上手に説明していた」、「ロボットを通して作品の説明を聞けて、ゆっくり内容を確認しながら鑑賞できた」、「We really enjoyed the exhibition and conversation」などの声が寄せられ、AIが伝統文化の鑑賞体験をより豊かにする可能性を示しました。
さらに、倉敷屏風祭には海外からの観光客も多く訪れ、システムが備える英語対応機能が言語の壁を越えた理解促進に貢献しました。海外の来場者からも高い満足度が得られ、文化体験の国際的な広がりを感じさせる成果となりました。
また、ピープルソフトウェア株式会社は、多言語音声ガイドシステム「MUSENAVI」を提供。日本語・英語・中国語・韓国語の4言語による作品解説を実現し、日本語と英語のナレーションは青陵高校放送部・ESS部の生徒が担当しました。OI-Startはこの取り組みにも支援協力し、地域・企業・学生が一体となった新たな文化発信の形を創出しました。
本学およびOI-Startは、中澤研究室のAI技術とピープルソフトウェア株式会社のソフトウェア技術を融合させ、伝統文化とテクノロジー、地域、若い力が交わる新しい鑑賞体験の社会実装を目指しており、今回の成果は、産学官学が連携して挑んだイノベーション創出の好例となりうるものです。
今後もOI-Startは、大学・行政・企業・地域の協働により、若い世代への文化継承や地域交流の促進、地域課題の解決と新たな価値創出に貢献していきます。
【本件問い合わせ先】
OI-Start事務局
(岡山大学自然科学系総合研究棟6F第1区画)
TEL:080-7178-7277、090-7185-8436
E-mail:oi-start◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
OI-Startが高校・地域企業と連携し「鑑賞DX」を実証 ― 倉敷屏風祭でAIが伝統文化体験を支援 ―
2025年10月30日