本学は12月5日、エッスル財団創設者であるマーティン・エッスル氏(Essl Foundation Founder, Mr. Martin Essl)に岡山大学名誉博士の称号を授与しました。
Junko Fukutake Hallで行われた称号授与式では、本学教職員・学生・学外関係者らが見守る中、那須保友学長が名誉博士記を岡山に来訪したマーティン・エッスル氏に手渡しました。
マーティン・エッスル氏は、シェーマー・バウマックス・グループのCEO(1999年)として、会社を中欧・東欧9カ国で150以上の店舗を持つ最大級のホームセンター小売チェーンへと成長させた人物であり、同社において障害の有無や国籍を問わず人々が共に働く企業文化を築き、「ヨーロッパの優良企業トップ10」や「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」、「責任ある企業賞(TRIGOS)」など、経済的成功と社会的責任を両立させたことにより数多くの賞を受賞しています。2008年には非営利のエッスル財団を設立。特に障害者の権利とインクルージョンに特化し、世界的なプラットフォームである「ゼロ・プロジェクト(Zero Project)」を創設しました。ゼロ・プロジェクトは、国連障害者権利条約に基づき、障害のあるすべての人の日常生活と法的権利に対する改善策を拡大し、公正で公平かつ包括的な、「障壁のない世界」を作ることを目標としており、世界的な社会包摂運動として広く認知され、日本政府や国際機関の会合でも高い評価を受けています。具体的には、国連と連携し、障害者権利条約の実施を推進する世界中の優れた実践・政策・テクノロジーを発掘・共有する国際的プラットフォームであり、現在100か国以上・10,000人超のネットワークを有しています。また、2024年には、オーストリアへの並外れた貢献に対してオーストリア共和国功労黄金名誉勲章を授与されるなど、エッスル氏の功績は国家レベルで高く評価されています。
称号授与式に引き続き、エッスル氏と本学の片岡祐子准教授(学術研究院医療開発領域)による記念講演会が行われました。エッスル氏からは、「ゼロバリアの世界のために」と題し、これまでの活動と今後の日本や大学への期待について、また、片岡准教授からは、「難聴者のコミュニケーションバリア解消に向けた開発」として、技術開発による解消策の説明がありました。両者とも、最も重要なことは共に作る組織、そして社会であると感慨を込めて聴衆へ訴えました。
今回のエッスル氏の岡山への来訪は、「ゼロ・プロジェクト・アワード2024」の受賞団体である岡山放送株式会社や株式会社両備システムズをはじめ、本学の片岡准教授はアワードのファイナリストとして、企業・大学との交流を深める機会となりました。
授与式に先立ち行われた那須学長への表敬訪問では、岡山放送株式会社の鈴木社長も同席し、エッスル財団がこれまで世界各国で進めてきた取り組みの紹介が行われるとともに、今後、本学との連携可能性や具体的な協働の方向性について活発な意見交換がなされました。
今回の称号授与をきっかけに、本学はゼロ・プロジェクトへの連携強化を通して、地域と地球全体のウェルビーイングの向上に貢献していきます。
【本件問い合わせ先】
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オーストリア、エッスル財団創設者Martin Essl氏に名誉博士称号を授与
2025年12月18日