国立大学法人 岡山大学

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冨樫庸介教授が第22回日本学術振興会賞を受賞

2025年12月19日

 学術研究院医歯薬学域(医)の冨樫庸介教授が、第22回日本学術振興会賞を受賞しました。令和8年2月3日に日本学士院(東京都)において授賞式が行われる予定です。
 日本学術振興会賞は、日本の学術研究の水準を世界のトップレベルにおいて発展させるため、創造性に富み優れた研究能力を有する若手研究者を早い段階から顕彰し、その研究意欲を高め、研究の発展を支援していくことを目的とするものです。

<授賞対象業績>
ミトコンドリア伝播による新たながん免疫逃避機構の解明

<授賞理由>
 腫瘍浸潤 T 細胞は抗がん免疫を構成する中心的な細胞ですが、腫瘍微小環境下においてはその機能が減弱することが知られています。冨樫教授は、がん細胞由来の変異ミトコンドリアが T 細胞へと伝播することにより、その機能を低下させるという新たな機構を明らかにしました。マウス実験系において、変異ミトコンドリアを有する T 細胞で機能低下がみられ、免疫療法の効果が減弱することを示しました。さらに、ヒト臨床検体の解析においても、変異ミトコンドリアを持つ患者は、持たない患者に比べて免疫チェックポイント阻害による治療効果が不良であることを実証しました。ミトコンドリアの細胞間伝播現象自体は以前から知られていましたが、がんにおける免疫回避機構への関与を示した本発見は、学術的に極めて重要であり、がん治療開発の観点からも大きな意義を有するものです。
 冨樫教授は呼吸器内科教授を兼務し、我が国において不足しているPhysician Scientistの育成にも顕著な貢献を果たしており、今後、日本の医学・医療を先導する人材として強く期待されています。

<冨樫教授のコメント>
このたび第22回日本学術振興会賞を受賞できましたこと大変光栄です。選考委員の先生方ならびに関係各位に厚く御礼申し上げます。本成果は、共同研究者の皆さま、研究室メンバーの日々の努力、ならびに技術支援・臨床現場のご協力の積み重ねによって得られたものです。さらに、科研費をはじめとする各種研究費・助成、所属機関の支援にも深く感謝いたします。この受賞を励みに、未解決の課題に引き続き挑み、学術の発展と医療・社会への還元につなげると同時に、次世代の育成にも尽力してまいります。

*独立行政法人日本学術振興会関連サイトはこちら:日本学術振興会賞

【本件問い合わせ先】
学術研究院医歯薬学域(医)腫瘍微小環境学分野
岡山大学病院呼吸器内科
教授 冨樫 庸介
TEL:086-235-7390
学術研究院医歯薬学域腫瘍微小環境学分野HP
岡山大学病院 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科HP

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