国立大学法人 岡山大学

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鳥取県三朝町で耳鼻咽喉科・補聴器診療を開始―非都市部における持続可能な「聞こえの医療」モデルの構築へ―

2026年08月07日

 本学は、鳥取県中部医師会立三朝温泉病院、三朝町、鳥取県中部医師会、鳥取県と連携し、2026年10月8日から三朝温泉病院に耳鼻咽喉科外来を新たに開設します。7月31日に、同病院にて本件に関する記者発表と講演会を行い、地域住民約70人や多くの報道機関が参加しました。
 三朝町は山間部に位置し、町内には耳鼻咽喉科医療機関や補聴器販売店がありません。住民が診察や補聴器の相談・調整を受けるためには町外へ出向く必要があり、特に高齢者にとって、移動や継続的な通院が大きな負担となっています。
 岡山大学病院聴覚支援センター(学術研究院教育研究マネジメント領域)の片岡祐子准教授(特任)は、昨年、三朝町で住民向け講演を行った際、こうした地域特有の課題を強く認識しました。難聴に関する啓発や聴覚検診を実施しても、その後に受診できる耳鼻咽喉科や、適切な補聴器の選択・調整を受けられる場所が地域になければ、実際の受診や補聴器装用といった行動変容につなげることは困難です。
 今回、既存の設備を最大限に活用し、初期投資を抑えた小規模な診療モデルとして、三朝温泉病院において耳鼻咽喉科外来を6カ月間試行することが決定しました。診療には可搬型の聴力検査機器やヘッドライトなどを持ち込み、三朝町が保有する耳鏡や鼻鏡なども活用します。
 外来は原則として毎月第1木曜日に開設し、初回診療は10月8日に行います。片岡准教授(特任)が耳鼻咽喉科診療を担当するとともに、Audika株式会社の認定補聴器技能者が、補聴器の選択、試聴、調整、継続的なフォローアップおよびアフターケアを支援します。医学的評価から補聴器の導入・調整、その後の継続支援までを町内で受けられる体制の構築を目指します。
 試行開始から6カ月後には、受診者数、住民のニーズ、診療・支援による成果などを評価し、本モデルを継続・発展させるかを検討します。十分な需要が確認された場合には、診療を継続するとともに、内視鏡などの診療機器や診療内容を段階的に拡充していく予定です。
 本取り組みの目的は、単に診療機会を設けるだけでなく、住民のニーズを起点として必要な医療と支援を構築し、その有用性を検証することです。また、初期投資を抑えた形で試行することは、将来的な他地域への展開可能性を考える上でも重要です。医療資源が限られた非都市部において、地域の既存資源と地域外の専門人材を組み合わせ、持続可能な聴覚医療・補聴支援体制を構築するための、小規模ながらも実践的な第一歩となります。
 岡山大学は、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」を通じて、「Human Health(人の健康)」および「Community Health(地域の健康)」の実現を推進しています。今後も本取り組みの実践と検証を重ね、地域の実情に応じた新たな「聞こえの医療」モデルの構築と、他の非都市部地域への展開を目指します。

【本件問い合わせ先】
学術研究院教育研究マネジメント領域
岡山大学病院聴覚支援センター
准教授(特任) 片岡 祐子
TEL:086-235-6541

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