東日本大震災復興「学・職・住」総合支援制度で入学者を受け入れる期限とされていた5年目が終了し、本学経済学部は2月20日、同制度を使って進学した2人の学生とともに、協力をお願いしてきた岡山市に実績の報告とお礼のあいさつを行いました。
東日本大震災復興「学・職・住」総合支援制度は、東日本大震災と福島原発事故で被災し、大学進学を諦めなければならない高校生を1人でも減らすことを目的に、2014年度に開始されたものです。本学では、経済学部夜間主コースに推薦入試で合格し、本制度を受けることを希望した被災学生に対して、本学が入学金や授業料を免除するほか、岡山市が市営住宅を改装した上で無償貸与し、岡山経済同友会が協力企業を募って昼間の職を当該学生に提供するという産官学連携の取り組みです。
同日、本制度を利用して進学した経済学部4年生の本田瑞貴さんと同3年生の其川真由さん、平野正樹経済学部長、大学院社会文化科学研究科の松本俊郎教授、津守貴之教授が、岡山市役所を訪れ、大森雅夫市長を表敬訪問しました。
平野学部長は「東日本大震災を契機に他の大学もさまざまな取り組みを行ったが、学生寮ではなく、住宅の提供を組み込んだ支援制度は他には見られなかった。本制度の特色となった住宅の提供は、岡山市が協力してくれたことによって初めて可能になった。岡山市には大変感謝しています」と謝辞を述べました。
また、本田さんと其川さんは本制度に協力してくれた岡山市や株式会社カワニシホールディングス、株式会社中国銀行へ感謝の意を伝え、自身の学生生活や将来について話しました。
大森市長は「岡山大学に、そして岡山によく来てくれました。勇気をもらいました」と二人の頑張りを賞賛しました。大森市長は内閣府の震災対策本部での勤務経験があり、災害予防と被災後の対策にも関心が高く、「本制度の意義についても、大きな災害があったときに助け合う動きが岡山でも日本でも広がってきた。ただ岡山は環境に恵まれているせいなのか、そうした動きが比較的弱いと感じている。本制度は損得抜きで助け合う動きが岡山でも本格化した証左の一つである」と話しました。
本田さん、其川さんの感謝の言葉は以下のとおりです。
本田さん
「福島の自宅は今回の震災で半壊し、自分が3人兄弟の一番上ということもあって、この制度がなかったら進学を諦めていました。この制度があったことによって大学で勉強することができて本当に良かったです。市営住宅については本制度を運用するために岡山市がわざわざ内装を美しく改装してくださったことに驚き、感謝いたしました。「職」の面でお世話になった株式会社カワニシホールディングスは学業優先で生活してほしいと勤務のシフトを組んでくれました。また就職活動時には3ヶ月ほど福島に戻って東北に関わる企業を回ることを認めてくれました。こうした会社の配慮のおかげで、交通費を嵩張らせることなく就職活動を行うことができました」
其川さん
「実家がある石巻は被災し自宅も全壊したので大学進学が難しくなっていましたが、本制度の存在を知って応募・受験しました。本制度のおかげで大学に進学することができたことに感謝しています。現在、昼間は株式会社中国銀行で勤務しており、生活費を工面することだけでなく、銀行実務を学ぶこともできました。故郷である東北で勤務し、何らかの形で復興に関与したいという思いは当然あります。3月から就職活動を始める予定です」
【本件問い合わせ先】
大学院社会文化科学研究科 教授 津守貴行
TEL:086-251-7551
(18.03.12)