国立大学法人 岡山大学

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宮地准教授が文部科学大臣表彰を受賞

2018年05月09日

 岡山大学自然生命科学研究支援センターゲノム・プロテオーム解析部門の宮地孝明准教授は、「創薬を指向した真核生物※1トランスポーター※2の構造と機能の研究」の業績により、4月17日、「平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞」を受賞しました。
 宮地准教授は、これまでも他の研究者とともに植物のビタミンCトランスポーターを世界で初めて同定するなどの研究成果を挙げるとともに、2016年3月には「平成28年度日本薬学会奨励賞」を受賞するなど、当該分野の将来を担うことが期待される研究者です。
 宮地准教授は「これまでお世話になった関係者の皆様には深く感謝致します。また、このような栄誉ある賞を頂き、大変光栄に思うとともに、身の引き締まる思いです。この表彰を励みに、今後も研究のさらなる発展や新しい研究領域の開拓を目指して頑張りたいと思います」と今回の受賞の喜びと今後の抱負を述べました。

〇業績の概要
 輸送体(トランスポーター)は創薬標的として有望ですが、有効な輸送活性評価法がなかったため、過半数のトランスポーターの機能は不明のまま残されていました。
 宮地准教授は、真核生物トランスポーターの普遍的な評価系を構築することで、神経伝達に関わる小胞型神経伝達物質トランスポーターを複数同定し、同定から9年余りで医薬品としての候補化合物を見出すことに成功しました。さらに、その植物ホモログから、植物で初めてビタミンCトランスポーターを同定し、光ストレス耐性化機構の一端を明らかにしました。
 本研究成果は、創薬標的のうち未開拓なトランスポーター創薬に着眼した新しい概念の医薬品開発を提案し、また、植物研究は食料や環境問題にも資するものであり、今後、産学を問わず、幅広い研究領域に貢献できると期待されます。

〇科学技術分野の文部科学大臣表彰
 文部科学大臣は、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的として科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果を収めた者を表彰しています。
 「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究など、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績を挙げた40歳未満の若手研究者が対象とされ、平成30年度は応募者数300名、授賞者数99名でした。(文部科学省ホームページより抜粋)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/04/1403097.htm

〇自然生命科学研究支援センターゲノム・プロテオーム解析部門
 生命科学をはじめとする自然科学領域の教育・研究の高度化、学際領域の融合、先端研究の推進、社会との連携等の進展などに対応した放射線、動物実験、分析計測、極低温の利用等の支援体制のため、2003年度に設置しました。
 ゲノム・プロテオーム解析部門は、遺伝子情報解析(ゲノム解析)やプロテオーム解析などの実験の支援を行う組織です。学外からの受託解析も行っています。プロテオーム(proteome;全タンパク質)は、protein(タンパク質)と-ome(全体を意味する)を組み合わせた言葉です。
//www.okayama-u.ac.jp/user/grcweb/asrc/tp/faculty/grc.html

※1 真核生物
 動物、植物、菌類、原生生物、藻類など、身体を構成する細胞の中に細胞核と呼ばれる核膜により隔てられた細胞小器官を有する生物です。

※2 トランスポーター
 生体膜を貫通し、膜を通過させて物質の輸送を担うタンパク質の総称です。

【本件問い合わせ先】
岡山大学自然生命科学研究支援センター ゲノム・プロテオーム解析部門
TEL:086-251-7261

(18.05.09)

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