世界初の小児心不全に対する自己幹細胞移植治療を実施
2011年05月26日
先天性心奇形である左室低形成症候群に対する心臓手術後に発症する小児心不全は、心臓移植以外の治療法では救命できない重篤な心疾患であります。岡山大学病院では、小児心不全の予後を改善させる目的で、患者さん自身の心臓内幹細胞を用いた細胞移植療法を世界で初めて臨床実施しました。
今後、本臨床試験は合計7症例の安全性を検証する第1相臨床試験を行う予定です。第1相臨床試験を踏まえた安全性の確認後、有効性検証の第2相臨床試験(60例)を実施予定しております。
今後、本臨床試験は合計7症例の安全性を検証する第1相臨床試験を行う予定です。第1相臨床試験を踏まえた安全性の確認後、有効性検証の第2相臨床試験(60例)を実施予定しております。
1.王英正(新医療研究開発センター教授)は、2003年に哺乳類の心臓内に幹細胞が存在することを世界で初めて発見し(Proceeding of National Academy of Sciences U S A.100:12313;2003)、2008年の前臨床試験において、ヒト心臓内幹細胞移植療法は安全にかつ有効に心筋再生医療に応用できることを報告しました(Journal of American College of Cardiology 52:1858;2008)。
2.今回、平成23年1月4日付けで厚生労働大臣より実施承認された「機能的単心室症に対する自己心臓内幹細胞移植療法の第1相臨床試験」における第1症例目を実施しました。
3.先天性心奇形である単心室症による心不全は予後が極めて不良であり、小児心臓移植の実施が困難な我が国では、新たな治療法を開発する必要があります。今回の細胞移植は、佐野俊二(心臓血管外科教授)が心臓手術時に右心房より余剰組織を採取し、王英正(新医療研究開発センター教授)が岡山大学病院・遺伝子細胞治療センター内で大量培養後、大月審一(小児循環器科教授)によって、心臓カテーテル用いて患者さん本人の冠動脈内に移植されました。
【本件問い合わせ先】
岡山大学病院・新医療研究開発センター
再生医療部門 王 英正
(電話番号)086-235-6530
(11.05.26)