国立大学法人 岡山大学

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様々な元素の分布を可視化する「放射化イメージング」に成功~これまで難しかった薬物動態の可視化など、診断・治療への応用に期待~

2022年11月09日

早稲田大学
大阪大学
理化学研究所
京都大学
岡山大学
科学技術振興機構(JST)

◆発表のポイント

  • 薬物に熱中性子を照射すると、原子核が活性化しX線ガンマ線を出す放射化に着目
  • 独自開発の広帯域カメラを使用し、金ナノ粒子や抗がん剤などの放射化イメージングに成功
  • これまでイメージングできなかった薬物の生体内での動態観察の実現につながる、診断・治療のための新しい可視化ツールとして期待

 早稲田大学理工学術院の片岡 淳(かたおか じゅん)教授らの研究チームは、大阪大学放射線科学基盤機構の豊嶋 厚史(とよしま あつし)教授、同・大学院医学系研究科放射線統合医学講座の加藤 弘樹(かとう ひろき)准教授、角永 悠一郎(かどなが ゆういちろう)特任助教(常勤)、医薬分子イメージング学共同研究講座の松永 恵子(まつなが けいこ)特任助教(常勤)、理化学研究所光量子工学研究センターの小林 知洋(こばやし ともひろ)専任研究員、若林 泰生(わかばやし やすお)研究員、京都大学複合原子力科学研究所の高宮 幸一(たかみや こういち)准教授、岡山大学学術研究院医歯薬学域の上田 真史(うえだ まさし)教授らと共同で、様々な元素の分布を可視化する革新的手法「放射化イメージング」を提案し、その原理を実証しました。これまで可視化ができなかった薬物でも体の外からイメージングすることが可能となり、診断・治療の新しい可視化ツールとして幅広い応用が期待されます。
 本研究成果は、2022年11月7日(月)(現地時間)に『Applied Physics Letters』のオンライン版で、また関連する論文も2022年11月3日(木)(現地時間)にCorrected Proofとして『Nuclear Instruments and Methods in Physics Research - section A』に掲載されました。

■論文情報
(1)雑誌名:Applied Physics Letters
論文名:Activation imaging of drugs with hybrid Compton camera: A proof-of-concept study
DOI:10.1063/5.0116570

(2)雑誌名:Nuclear Instruments and Methods in Physics Research - section A
論文名:Activation imaging: New concept of visualizing drug distribution with wide-band
X-ray and gamma-ray imager
DOI:10.1016/j.nima.2022.167599


■研究助成
本研究は、戦略的創造推進事業 ERATO「片岡ラインX線ガンマ線イメージング」(令和3~8年度;グラント番号 JPMJER2102)の支援を得て実施したものです。ここに深く感謝申し上げます。

<詳しい研究内容について>
様々な元素の分布を可視化する「放射化イメージング」に成功~これまで難しかった薬物動態の可視化など、診断・治療への応用に期待~


表1: 薬物の体内動態を可視化する、様々な手法の比較
図1: 金ナノ粒子を熱中性子で放射化した場合の応用例。EPR効果により、ナノ粒子はがんに選択的に取り込まれやすいため、412keV ガンマ線をイメージングすることで、がんへの薬物伝達の様子を確認できる。同時に発生するβ線は、がんへの殺傷効果が期待できる。
表2: 熱中性子を照射した薬物サンプル
図2: 様々な薬剤の放射化スペクトル。黒丸は 図3のイメージングに用いた、元素特有のX線ガンマ線。
図3: 中性子で放射化した各種薬剤のガンマ線画像。ハイブリッドコンプトンカメラで撮影
図4: 放射化した金ナノ粒子とアスタチンによる、セラノスティクスの開拓
図5: 熱中性子を照射する前(左)と照射後(右)での HPLCによる紫外―可視吸収スペクトルの比較


【研究内容に関するお問い合わせ先】
早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻
教授 片岡 淳
Tel:03-5286-3224

大阪大学放射線科学基盤機構
教授 豊嶋 厚史
Tel:06-6850-8235

大阪大学大学院医学系研究科 放射線統合医学講座核医学
特任助教(常勤) 角永 悠一郎
Tel:06-6879-3461 

【JST事業に関するお問い合わせ先】
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部 グリーンイノベーショングループ 
加藤 豪 
Tel : 03-3512-3528 

【発信元】
早稲田大学 広報室広報課 
Tel:03-3202-5454 

大阪大学 研究推進部研究機構支援課総務係(放射線科学基盤機構)
Tel : 06-6105-6117

大阪大学 大学院医学系研究科 広報室
Tel : 06-6879-3387

理化学研究所 広報室 報道担当
Tel : 050-3495-0247
京都大学 総務部広報課国際広報室
Tel : 075-753-5729

岡山大学 総務・企画部広報課
Tel : 086-251-7292

科学技術振興機構 広報課
Tel:03-5214-8404

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