国立大学法人 岡山大学

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酸化チタン光触媒フィルターで省エネ油水分離を実証

2013年10月16日

 本学環境管理センターの三宅通博教授(無機機能材料化学研究室)の研究グループは、酸化チタン光触媒薄膜に紫外光を照射すると水中下で超撥油性を示すことを見出し、酸化チタン光触媒フィルターにより、省エネルギーで効率よく油と水を分離できることを実証しました。本研究成果は2013年5月23日、米国化学会オンライン科学雑誌『Langmuir』に掲載されました。
 本酸化チタン光触媒フィルターは、極めて高い油水分離特性を示すだけでなく、省エネルギーでの分離が可能となります。今後、環境分野や工業分野での応用が期待されます。
<業 績>
 岡山大学環境管理センターの三宅通博教授(無機機能材料化学研究室)、大学院環境生命科学研究科の亀島欣一准教授、西本俊介助教、澤井雄介大学院生、岡山県工業技術センターの藤井英司研究員らの研究グループは、酸化チタン光触媒薄膜に紫外光を照射すると、従来から知られていた大気下での超親水性に加えて、水中下で超撥油性を示すことを見出しました。
 金属チタンメッシュを熱処理することで表面に酸化チタン皮膜を形成させることにより得たフィルター(孔径: 150 μm)に、紫外光を照射した後、油と水の混合液を流すと、水はフィルターの穴を通過するのに対して、油はフィルター表面の水膜に疎外されてフィルターを通過することができず、溶液の重力のみで瞬時に油と水を分離できることを明らかにしました(下図)。



油水分離実験の様子(油:赤系色素で着色したヘキサデカン、水:青系色素で着色したイオン交換水)

<見込まれる成果>
 タンカー事故などにより、重油等の海域への流出は深刻な環境問題を引き起こします。事故発生直後の重油拡散前には、可能な限り速やかに重油を回収することが求められ、高効率な油水分離技術が必要となります。本酸化チタン光触媒フィルターは、極めて高い油水分離特性を示すだけでなく、省エネルギーでの分離が可能となります。また、金属チタンフィルター表面を熱処理することで酸化被膜を形成したものであるため、フィルターは軽量で耐久性に優れ、被膜の機械強度および密着性も極めて良好です。従って、新しい油水分離膜となることが期待されます。

 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)科研費(若手B,:20750170)の助成を受け実施しました。

発表論文はこちらからご確認いただけます。

発表論文:Yusuke Sawai, Shunsuke Nishimoto, Yoshikazu Kameshima, Michihiro Miyake, ”Photo-induced underwater superhydrophobicity of TiO2 thin films”, Langmuir, 29, 6784-6789 (2013). (doi: 10.1021/la401382g)

報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学環境管理センター(大学院環境生命科学研究科) 教授
三宅 通博
岡山大学大学院環境生命科学研究科 助教
西本 俊介
(電話番号)086-251-8906, 086-251-8905
(FAX番号)086-251-8906, 086-251-8905
(URL)http://www.ecm.okayama-u.ac.jp/inorgmat/

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