国立大学法人 岡山大学

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ダニ媒介感染症「日本紅斑熱」流行トレンドを分析 発生率の変化率を年齢・都道府県ごとに定量し、急増中の地域を特定

2023年02月09日

◆発表のポイント

  • 社会的問題になっているダニ媒介感染症「日本紅斑熱」の発生率を年齢層・都道府県別に20年間分のトレンドを解析し、本邦での増加率を定量的に報告しました。
  • 日本紅斑熱は全体として指数関数的に増加しており、高齢者層や、これまで多発地域と思われていなかった東日本の都道府県においても増加傾向であることを明らかにしました。
  • 地球温暖化や人間活動の影響がその原因として示唆され、世界的なダニ媒介感染症の流行に対する公衆衛生学的対策を検討する上で重要な発見と思われました。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)岡山県北西部(新見)総合診療医学講座(総合内科学)の大塚勇輝助教、瀬戸内(まるがめ)総合診療医学(総合内科学)の萩谷英大准教授と、大学院医歯薬学総合研究科附属医療教育センターの小山敏広准教授らの研究グループは、「日本紅斑熱」発生数の公開データを用いて20年間分の発生率を年齢層・都道府県ごとに推算し、トレンド解析の手法を用いて検討することで、その変化率をはじめて定量化しました。日本紅斑熱の発生は日本全体として指数関数的に増加しており、特に、高齢者層や、これまで多発地域と思われていなかった東日本の都道府県において急増していることを明らかにしました。地球温暖化や人間活動の影響がその原因として示唆され、世界的なダニ媒介感染症の流行に対する公衆衛生学的対策を検討する上で重要な発見と思われます。本研究結果は、論文としてまとめられ、2023年2月6日に熱帯医学領域の英文誌「American Journal of Tropical Medicine and Hygiene」に掲載されました。

◆研究者からひとこと

日本紅斑熱が日本で急増していることは当局や各施設から相次いで報告されていましたが、総合診療医として実際に同疾患の診療に当たるなかで「どのくらい」、「どこで」、「どんな人に」増えているのか疑問でした。今回、トレンド解析を行うことでその増加率を定量でき、加えて、増加率の高い都道府県を特定できました。世界的なダニ媒介感染症流行の原因の推測や、公衆衛生学的対策への一助になればと思っています。
大塚 助教
感染症の流行疫学は徐々に変化するため、本研究のようなトレンド解析を定期的に実施することは重要です。今後も様々な感染症疾患の疫学解析に取り組みたいと思います。
萩谷 准教授

■論文情報
論文名: Trends in the Incidence of Japanese Spotted Fever in Japan: A Nationwide, Two-Decade Observational Study from 2001-2020
掲載誌: American Journal of Tropical Medicine and Hygiene
著者: Yuki Otsuka, Hideharu Hagiya, Shinnosuke Fukushima, Ko Harada, Toshihiro Koyama, Fumio Otsuka
D O I : https://10.4269/ajtmh.22-0487
U R L: https://www.ajtmh.org/view/journals/tpmd/aop/article-10.4269-ajtmh.22-0487/article-10.4269-ajtmh.22-0487.xml

<詳しい研究内容について>
ダニ媒介感染症「日本紅斑熱」流行トレンドを分析 発生率の変化率を年齢・都道府県ごとに定量し、急増中の地域を特定


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)
県北西部(新見)総合診療医学講座
助教 大塚 勇輝

瀬戸内(まるがめ)総合診療医学講座
准教授 萩谷 英大

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