国立大学法人 岡山大学

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抗がん剤腹腔内投与が進行卵巣がんの予後を改善

2023年06月28日

◆発表のポイント

  • 抗がん剤を腹腔内に投与することで卵巣がんの予後を改善することが判明。
  • 今後の保険適用に向けて準備中。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)の長尾昌二教授と国際医療福祉大学の藤原恵一教授を中心とするグループにより進行卵巣がんに対する抗がん剤の腹腔内投与の有効性を確認するために行われた国際共同試験iPocc(アイポック)試験の結果が総合医学雑誌「New England Journal of MedicineEvidence」に掲載されました。
 今回の研究では、カルボプラチンという抗がん剤を腹腔内投与することで、卵巣がんの再発のリスクが17%減少することが明らかになりました。また、抗がん剤の腹腔内投与によって引き起こされる懸念のあった腹痛や腹腔内感染のリスクは、10%程度であることもわかりました。
 現時点では、健康保険を使っての治療は受けられませんが、保険適用に向けて準備を急いでい
ます。すでに保険適用されている抗がん剤「PARP(パープ)阻害薬」と組み合わせることで、根治は難しいとされてきた進行卵巣がんの治癒の可能性が飛躍的に高まることが期待されます。

◆研究者からひとこと

2005年頃から藤原恵一先生(現 埼玉医科大学国際医療センター 客員教授、国際医療福祉大学特任教授)と進めてきた研究がついに結実しました。この新しい知見が患者さんのもとに届けられるように引き続き頑張りたいと思います。
長尾教授

■論文情報
論 文 名:Intraperitoneal Carboplatin for Ovarian Cancer – A Phase 2/3 trial -
掲 載 紙:New England of Medicine Evidence
著  者:Shoji Nagao, Keiichi Fujiwara, Kouji Yamamoto, Hiroshi Tanabe, Aikou Okamoto, Kazuhiro Takehara, Motoaki Saito, Hiroyuki Fujiwara, David S.P. Tan, Satoshi Yamaguchi, Sosuke Adachi, Akira Kikuchi, Takeshi Hirasawa, Takeshi Yokoi, Tomonori Nagai, Toyomi Sato, Shoji Kamiura, Akira Fujishita, Wong Wai Loong, Karen Chan, Peter Syks, Alexsander Olawaye, Sang-Young Ryu, Hiroyuki Shigeta, Eiji Kondo, Yoshihito Yokoyama, Takashi Matsumoto, Kosei Hasegawa, Takayuki Enomoto
D O I:10.1056/EVIDoa2200225
U R L:https://evidence.nejm.org/doi/full/10.1056/EVIDoa2200225

■研究資金
 本研究は、AMEDの支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
抗がん剤腹腔内投与が進行卵巣がんの予後を改善

<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)周産期医療学講座
教授(特任) 長尾 昌二
(電話番号)086-235-7320 (FAX)086-225-9570

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