国立大学法人 岡山大学

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遠隔地の希少がん患者と家族をつなぐメタバース運用を開始

2023年07月28日

◆発表のポイント

  • 患者さん同士や、患者さんと家族の交流ができるメタバース(仮想空間)を新規に構築した。
  • メタバースの利用により遠隔地にいる希少がんの患者さん同士が交流できる場を提供していく。
  • がんサバイバーの方の講演や、妊孕性などのデリケートな話にも有用。

 岡山大学病院では、2014年4月に西日本で初となるサルコーマ(肉腫)センターを開設し、診療を行っていますが、骨にできる悪性骨腫瘍などは、いわゆる「希少がん」であり、しかも小児や思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult, AYA)世代に多く発症するため、その精神的なケアが非常に大切です。メンタルケアの為には、同じ疾患を経験している患者さん同士がお互いの悩みなどを話し合える環境が重要ですが、希少疾患のため、入院治療中に同じ疾患かつ、同世代の患者さん同士が話せる機会は殆どなく、孤独な病との闘いが長期に渡っている状態です。また、希少疾患はそのご家族同士の交流の場も少なく、社会生活上の情報交換などが十分には行えていないため、情報交換の場が長年求められてきました。これらの問題を解決するため、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)医療情報化診療支援技術開発講座の長谷井嬢准教授(整形外科)は、2023年6月に遠隔地の患者さんやご家族を繋げるメタバースを開発し、空間の公開を開始しました。現在は、遠隔地の患者さん同士の交流を行うために、全国の拠点病院病院と各診療科との調整を行っており、2023年中には試験運用を開始する予定です。

◆研究者からひとこと

希少がんの治療は、その患者数が少ない事から、同じ病気で闘っている患者さん同士が交流できる機会が非常に少ないという課題があります。一部で患者会が開催されてはいましたが、現実空間での開催は地域が限定されてしまい、参加が難しいことも課題でした。メタバースを用いることで、遠隔地の患者さん同士を繋ぐことができ、アバターで参加できるため、匿名性も高く、話がしやすいことがメリットなシステムです。連携病院を拡大中であり、がんサバイバーの方のお話や、疾患情報の講演なども企画しています。
長谷井准教授

<詳しい研究内容について>
遠隔地の希少がん患者と家族をつなぐメタバース運用を開始


<お問い合わせ>
岡山大学 学術研究院医歯薬学域 
医療情報化診療支援技術開発講座
准教授 長谷井 嬢
(電話番号)086-235-7273
(FAX)086-223-9727



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