国立大学法人 岡山大学

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日本における頭頸部がんの死亡率の経年変化を明らかに

2023年09月29日

◆発表のポイント

  • これまで十分に明らかにされていなかった日本における頭頸部がんの死亡率の推移を明らかにしました。
  • 1999年から2019年の日本の頭頸部がんの年齢調整死亡率は、男女ともに減少し、特に男性では2014年以降顕著に年齢調整死亡率が低下したことが明らかとなりました。
  • 本研究結果は、日本における喫煙率の低下や頭頸部がんの診断および治療法の進歩が頭頸部がんによる死亡率の低下に寄与している可能性を示唆しています。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科医薬品臨床評価学分野の博士課程2年生の東恩納司と岡山大学学術研究院医歯薬学域医療教育センター薬学教育部門健康情報科学分野の小山敏広准教授、岡山大学病院薬剤部の濱野裕章講師、座間味義人教授らの研究グループは、これまで十分に明らかにされていなかった日本における頭頸部がんの死亡率の傾向を明らかにしました。本研究は国内外の複数の研究機関と医療機関の研究者との共同研究において実施されました。
 頭頸部がんは世界で6番目に多いがんであり、今後も罹患者数および死亡者数は増加すると推定されています。日本でも分子標的治療薬や免疫療法といった新たな治療薬の開発が進む中、死亡率の経時的な動向は十分明らかにされていませんでした。
 本研究では、1999年から2019年の日本国内における頭頸部がんの死亡者数を分析しました。その結果、頭頸部がんの年齢調整死亡率は、男女ともに減少し、特に男性では2014年以降顕著に死亡率が低下したことが明らかとなりました。
 本研究によって明らかになった傾向は、日本における喫煙率などの経年的低下や、検診による早期発見、分子標的治療薬といった新規がん化学療法の開発によるものと考えられます。
 本研究成果は、国際医学誌「Cancers」のオンライン版に7月26日に掲載されました。

◆研究者からひとこと

 今回の研究も多様な研究者の協力により、ヘルスケアデータサイエンスという新たな領域で国内のデータベースを臨床的な視点で分析した結果として得られたものと思います。今後も、医療政策とへ貢献できる基盤となる研究成果を発表し続けていきたいと思います。
小山 准教授
 今回の研究も多様な研究者の協力により、ヘルスケアデータサイエンスという新たな領域で国内のデータベースを臨床的な視点で分析した結果として得られたものと思います。今後も、医療政策とへ貢献できる基盤となる研究成果を発表し続けていきたいと思います。
東恩納司 博士課程2年生

■論文情報
論 文 名:Trends in Head and Neck Cancer Mortality from 1999 to 2019 in Japan: An Observational Analysis
掲 載 紙:Cancers
著  者:Tsukasa Higashionna, Keisaku Harada, Akinari Maruo, Takahiro Niimura, Elizabeth Tan, Quynh Thi Vu, Takayoshi Kawabata, Soichiro Ushio, Hirofumi Hamano, Makoto Kajizono, Yoshito Zamami, Keisuke Ishizawa, Ko Harada, Shiro Hinotsu, Mitsunobu R. Kano, Hideharu Hagiya, Toshihiro Koyama
D O I:https://doi.org/10.3390/cancers15153786
U R L:https://www.mdpi.com/2072-6694/15/15/3786

■研究資金
本研究は、日本学術振興会の支援を受けて実施しました。
研究課題:医療データサイエンスによる高齢者医療の疾病構造に関する臨床疫学研究
研究課題/領域番号:22K10415
研究種目:基盤研究(C)
研究機関:岡山大学
研究代表者:小山 敏広 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60595106)

<詳しい研究内容について>
日本における頭頸部がんの死亡率の経年変化を明らかに


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
博士課程2年 東恩納司

岡山大学学術研究院医歯薬学域
医療教育センター薬学教育部門
健康情報科学分野
准教授 小山敏広
(電話番号)086-235-6585

年度