国立大学法人 岡山大学

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膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下ラジオ波焼灼術国内第1例目を成功~膵腫瘍に対する内視鏡的低侵襲治療法の開発~

2023年10月25日

◆発表のポイント

  • 膵神経内分泌腫瘍に対する「超音波内視鏡ガイド下ラジオ波焼灼術」の国内第1例目の治療(臨床研究)に成功しました。
  • 外科切除と比較して、圧倒的に低侵襲かつ膵機能温存ができる点が優れます。
  • 再発を含めた治療効果は、今後長期での経過観察が必要です。

 岡山大学病院消化器内科 松本和幸助教、光学医療診療部 加藤博也准教授、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)消化器・肝臓内科学 大塚基之教授の研究グループは、超音波内視鏡(EUS)を用いて膵臓に生じる比較的稀な腫瘍である膵神経内分泌腫瘍に対してラジオ波焼灼を行い、熱凝固壊死させる国内初の臨床研究を行い、腫瘍を壊死させることに成功しました。
 同研究グループは2015年から膵神経内分泌腫瘍に対する内視鏡的低侵襲治療法の開発に取り組んでおり、これまでにEUSガイド下に腫瘍内にエタノールを注入して凝固壊死させる国内初の臨床研究を先進医療Bとして行った実績もあります(実施期間:2020年~2023年)。本治療は、局所切除の適応になる低悪性度かつ小径の膵神経内分泌腫瘍に対して行われ、これまでに行ってきたEUSガイド下エタノール注入療法より治療効果が高く、外科切除に代替される治療として期待されています。本治療の臨床研究で安全性および有効性が証明できれば、患者さんの体に負担が少ない内視鏡を用いた低侵襲治療が広く普及し、膵切除に伴う合併症の回避や糖尿病の発生なども抑制できることが期待されます。

◆研究者からひとこと

 食道・胃・大腸の消化管領域は先人の内視鏡医により、ポリープ切除術やがん切除術が開発され、患者さんの予後延長に貢献してきました。しかしながら、膵臓領域の腫瘍に対する内視鏡治療は未だ開発が遅れています。近年、EUS検査の普及により膵腫瘍の早期発見や診断ができるようになり、EUSを用いた腫瘍に対する治療も海外を中心に開発が進んできています。膵臓切除は外科切除の中でも手技難度が高く、切除後には膵機能低下による糖尿病発生などの合併症もあります。患者さんの体に優しくかつ、治療効果が高い内視鏡的低侵襲治療を目指しています。
松本和幸助教

■研究資金
 本研究は、岡山大学病院消化器内科の運営費交付金を用いて開始し、2023年10月にAMED(日本医療研究開発機構)事業に採択されました(課題番号:23ck0106900h0001事業名:革新的がん医療実用化研究事業 研究開発課題名:膵神経内分泌腫瘍に対する治癒率向上と膵機能温存を目指した内視鏡的低侵襲治療法の開発 研究代表者:松本和幸)。

<詳しい研究内容について>
膵神経内分泌腫瘍に対する超音波内視鏡ガイド下ラジオ波焼灼術国内第1例目を成功~膵腫瘍に対する内視鏡的低侵襲治療法の開発~


<お問い合わせ>
岡山大学病院 消化器内科
助教 松本和幸
(電話番号)086-235-7219
(FAX) 086-225-5991

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