国立大学法人 岡山大学

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新型コロナ後遺症による長引く症状が就労へ与える影響を調査

2024年07月30日

◆発表のポイント

  • コロナ後遺症では、倦怠感などの長引く症状が、患者さんの日常生活に大きな影響を与えます。
  • 今回の検討では、雇用されている後遺症患者の過半数(54%)に就労状況の変化を認めました。
  • 就労状況に影響した患者さんでは、倦怠感・不眠・頭痛・呼吸困難感などの症状が多くみられました。

 岡山大学病院総合内科・総合診療科の松田祐依医員と、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループは、岡山大学病院のコロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者さんの中で、雇用されている方の労働状況の変化について研究を行いました。その結果、54%の方に何らかの就労への影響がみられていたことが分かり、中でも若年者・高齢者では退職率が高い傾向を認めました。この研究成果は、2024年6月28日、国際学術雑誌「Journal of Clinical Medicine」に掲載されました。
 新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行してから1年以上が経過しました。コロナ・アフターケア外来を受診する患者さんには回復後も長引く症状のために仕事や生活に支障をきたしている方も多くおられます。本研究成果により、コロナ感染後も就労へ影響するほど症状のある方が過半数にのぼることが分かり、症状回復のためには適切な療養期間をとることが重要であると考えられます。

◆研究者からひとこと

当院のコロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師が複数人で担当しています。患者さんの症状をお聞きして、その症状が生活や仕事へ与える影響にも考慮して診療にあたる当科の強みを生かして、こうした研究を行うことができました。
松田祐依 医員
新型コロナ後遺症の治療には、いまだ特効薬がなく、症状を緩和する対症療法を手探りで行っています。今回の研究から、患者さんの雇用状況や経済状態にも影響が大きいことが分かりました。コロナ後遺症からの回復には時間がかかることがあり、社会の理解が重要と考えられます。
大塚文男 教授

■論文情報
論 文 名: Changes in working situations of employed long COVID patients: a retrospective study in a
Japanese outpatient clinic.

掲 載 紙:Journal of Clinical Medicine
著  者:Matsuda Y, Sakurada Y, Otsuka Y, Tokumasu K, Nakano Y, Sunada N, Honda H, Hasegawa T,
Takase R, Omura D, Ueda K, and Otsuka F.

D O I:10.3390/jcm13133809
U R L:https://www.mdpi.com/2077-0383/13/13/3809

<詳しい研究内容について>
新型コロナ後遺症による長引く症状が就労へ与える影響を調査

<お問い合わせ>
岡山大学病院 総合内科・総合診療科
医員 松田 祐依

岡山大学学術研究院医歯薬学域 総合内科学
教授 大塚 文男

(電話番号)086-235-7342  (FAX)086-235-7345

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